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2025年7月11日(金)

シリーズ 参院選勝利へ 基本政策から

コメ安定供給 国の責任で 農政転換し自給率向上を

 昨年夏以来の深刻なコメ不足と、米価の高騰が全国の家庭を直撃しています。その最大の原因はコメの供給不足です。日本共産党は、農家の所得補償、価格保障を行い、コメの安定供給、増産にむけた農政に転換するとともに、早期に食料自給率50%台を回復し、60%台をめざします。

不足・高騰の原因は

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 昨年6月までの1年間に供給されたコメの量は需要量より44万トンも足りませんでした。これにより、民間在庫が過去最低に落ち込み、コメの小売平均価格(5キロ)が2023年5月の1890円から25年4月の4225円へと米価高騰につながりました。

 ところが政府は、いまだに「コメ不足」を認めようとしていません。この姿勢のままでは、今後のコメ増産・安定供給にむけた農政は望めません。

 日本のコメ生産がここまで落ち込み、コメ不足・高騰をもたらしたのは、歴代自民党の三大失政があります。

 第1が、“コメの消費が毎年減る”ことを前提にして生産をギリギリに抑えようと、農家に減反・減産を押しつけたことです。

 第2は、コメの生産基盤を弱体化させたことです。自民党政権は、民主党政権が導入した所得補償(10アールあたり1万5000円)を2014年に半減し、18年に全廃しました。コメ農家から年間1500億円以上もの所得を奪ったのです。一方で、コメの価格や流通を「市場まかせ」にし、生産者米価は60キロ2万円超から、1万円前後まで落ち込みました。このもとで、コメ農家は、00年の175万戸から24年の53万戸へと激減しました。

 第3は、国内の農家には減反・減産を押しつけながら、ミニマムアクセス米77万トンを輸入し続け、コメの生産基盤の弱体化を加速させたことです。

 加えて、小泉進次郎農水相にはコメ農家に寄り添い、支援する姿勢がありません。「5キロ2000円」ではコメ農家は大赤字です。低い生産者米価に苦しみ、一息つける水準に回復したのに政府の主導でまた米価が下がるのか―いま、小泉農水相が発言するたびに、不安がコメ農家に広がっています。

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(写真)5キロ5000円前後にはね上がったスーパーの米。2キロ2000円超の米はなくなっていました=6月20日、東京都墨田区

 岩手県花巻市で稲作と酪農を営む男性は、「国の方針で減反してきたのにコメ不足。コメの供給は市場まかせじゃなく、国が責任をもってほしい」と語ります。国が所得補償、価格保障をしなければコメを生産する人がいなくなるとして、「大規模農家だけでなく、中小や多様な農家を支える政策に転換してほしい」と希望しています。

 東京都墨田区のスーパー経営者は、コメ不足・高騰について「一番の原因は米生産を減らし続けた自民党の失敗だ。コメの輸入を増やすのではなく、国内生産を増やすしかない。国民、農家を守らないとダメだ」と語ります。

 日本共産党は、減反・減産から増産への転換、市場まかせから国が責任を持って安定供給をすすめる農政への大転換を要求。コメ増産にむけて価格保障、所得補償を行うとともに、1俵(60キロ)=2万~2万数千円を保障し、消費者に手ごろな価格で安定的に供給できるようにすることを求めています。

自民「亡国の農政」

グラフ
グラフ

 コメ高騰とともに深刻なのは、日本の食料自給率(カロリーベース)が先進諸国で最低の38%にまで落ち込んだままになっていることです。

 この危機を生み出したのも、歴代自民党政権が進めた「亡国の農政」によるものです。アメリカや財界いいなりに農産物の輸入自由化を受け入れ、価格保障や所得補償などの農業保護を投げ捨ててきました。

 この結果、食料自給率は1990年の48%から2023年には38%へ下落。同じ時期の基幹的農業従事者数(ふだん仕事として主に自営農業に従事している人)は、292・7万人から116・4万人に、さらに24年には111・4万人となっています。年齢構成を見ても、15~49歳が年々減少し、24年ではわずか12・5万人と、11%を占めるにすぎません。49歳以下の新規就農者数も、15年の2万3030人から23年には1万5890人へと減少。耕地面積では、1990年の524・3万ヘクタールから2024年には427・2万ヘクタールと、100万ヘクタール近くが減少しています。

 ここまで日本の農業を追い詰めてきた自民党農政がこれ以上続けば、農村が崩壊し、食料の生産基盤がまったく失われた国になってしまいます。

予算1兆円増要求

 しかし、自民党には農業を破壊してきたことへの反省は一切ありません。自民党の参院選政策は、「食料安全保障の強化」をうたいながら食料自給率の目標は明記されず、「生産基盤を強化し、農家所得の向上を図る」としながら、所得補償・価格保障など具体策は何らありません。「既存予算とは別枠で、思い切った規模の予算」とするその対象は、「土地改良事業」「スマート農業の導入」などに限定され、農家の苦境を支えるものとは程遠い内容です。

 日本共産党は参院選政策で、「食料の外国依存をきっぱり転換し、早期に食料自給率50%台を回復し、引き続き60%台をめざす」と明記。「大規模も中小規模も含めて多様な家族経営が営農を続け、暮らし続けられる農山村、新規参入者や移住者が元気に暮らせる農山村をめざす」としています。

 その具体策として、価格保障・所得補償を再建・充実し、若者が安心して農業に励める土台を整えることを提案しています。高齢農業者のリタイアが加速する中で、次代の新たな担い手の確保・育成を国家プロジェクトとして取り組むことも訴えています。

 日本の農林水産予算は一貫して縮小され、いまや軍事費8・7兆円のわずか4分の1である2・27兆円にまで落ち込みました。国民1人当たりの農業予算は米国の約3万288円、フランス2万7929円に対し、日本はわずか1万3598円です(19年)。日本共産党は、国の農林水産予算を緊急に1兆円増やすことを求めています。

 農業従事者が希望をもって営農できるようにすることと、消費者が安全・安心に、安定して食料を購入できるようにする農政への大転換が求められています。


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