2025年7月10日(木)
外国人敵視政策 各党競い合い
差別・分断 加速の異常
外国人を敵視する政党や主張が参院選でも広がる中、各党は排外主義的な政策を競うように打ち出しています。保守層の取り込みを狙う排外主義的主張の伸張を許せば、差別と分断がいっそう加速し、いま国民が立ち向かうべき大企業優先、アメリカ言いなり政治を変える改革を押し流すことになります。日本共産党は、排外主義や極右的潮流には断固反対すると表明しています。
石破茂首相は8日の閣僚懇談会で、外国人対策の司令塔となる事務局組織を内閣官房に設置する方針を表明しました。自民党は先月、出入国管理の「適正化」や難民申請の抑制、外国人保険適用の「在り方検討」、土地所有の「透明性」確保などを政府に提言しており、首相が示した方針は同党の提言に基づくものです。
自民党は「被仮放免者への対応を含めた取り組みを強化するなど、『違法外国人ゼロ』に向けた取り組みを加速化」「外国人の保険適用のあり方など検討を行う」とも公約に明記。X(旧ツイッター)の自民党広報アカウントが投稿した動画では、国民の声として「ルールを守らない外国人が増えているのではないか」「土地がどんどん外国資本に買われていて不安だ」などと発信し、外国人憎悪をあおっています。
日本維新の会は「外国人の無秩序な増加や地域摩擦の弊害を踏まえ、外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を含む人口戦略を策定」すると公約しました。
国民民主党は「外国人土地取得規制法案の成立をめざす」「外国人の社会保険加入実態を調査し、運用の適正化等の対策を講ずる」と公約に明記しました。当初は「外国人に対する過度な優遇を見直す」としていましたが、排外主義的だとの批判を受けて「外国人に対して適用される諸制度の運用の適正化を行う」と修正しています。
「日本人ファースト」を掲げる参政党は、「外国人への生活保護支給を停止」「(社会保障の適用は)日本の国益につながる相当の理由がある人物のみへの実施を徹底する」「日本の文化的背景の理解と遵守の厳格化」などと明記しています。
こうした排外主義的な主張は、国民の生活苦に乗じて分断を持ち込みながら伸張しているのが実態です。しかし、生活の苦しさの原因は、物価高騰や実質賃金の低下など自民党政権による失政にあり、“外国人への優遇”が原因だとの主張はまったくのデマです。実際、この10年で在留外国人は1・7倍に増えましたが、生活保護を利用する外国人は減少しています。
外国人に不満の矛先を向けることは、「失われた30年」をもたらした自民党政治を免罪することにつながります。あらゆる差別とたたかい、自民党政治の根本的な変革を求める日本共産党の躍進こそ、生活苦をなくし、差別や分断を阻止する一番の力になります。(鈴木平人・中野侃)
外国人を敵視する各党の参院選公約
自民党
- 外国人の運転免許切り替え手続きや不動産所有について対応を「厳格化」
- 政府の司令塔機能を構築するとともに、仮放免された外国人への対応を強化し、「違法外国人ゼロ」に向けた取り組みを加速
公明党
- 外国人の社会保険料の未納情報を在留審査に反映させるなど管理の「高度化」
日本維新の会
- 外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を含む人口戦略を策定し、司令塔機能の設置および基本法の制定。外国人政策を国家として「一元管理」
国民民主党
- 「外国人土地取得規制法」の成立をめざし、不動産投資規制などにより「国土を守る」
- 外国人の社会保険の加入実態を調査し、運用の「適正化」等の対策を講じる
参政党
- 「外国人総合政策庁」を新設し、外国人政策を「一元的に管理」
- 外国人の医療保険や生活保護の「濫用」を防ぐための利用条件の「明確化」。外国人留学生への奨学制度は日本の「国益に資する人物」に限定
日本保守党
- 移民政策の是正。入管難民法の改正と運用の「厳正化」








