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2025年7月9日(水)

ベスト4決まる

囲碁第50期新人王戦

 囲碁の第50期新人王戦がすすんでいます。6月23日までにベスト4が出そろいました。本紙囲碁観戦記者の品田渓さんに、4人の棋風、今後の見どころについてききました。


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(写真)張瑞傑六段

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(写真)田中佑樹三段

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(写真)蕭鈺洋三段

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(写真)伊了四段

 ベスト4に残ったのは、張瑞傑(ちょう・ずいけつ)六段(26)、田中佑樹(たなか・ゆうき)三段(19)、蕭鈺洋(しょう・ぎょくよう)三段(18)、伊了(い・りょう)四段(23)です。

 ◎張瑞傑六段

 張六段は、故高林拓二七段門下です。高林門下は、人数はそれほど多くはないのですが、新人王戦にとても縁がある一門です。富士田明彦八段(第37期優勝・2012年)、許家元九段(第40期優勝・15年)、外柳是聞五段(第46期優勝・21年)と新人王を輩出しています。

 高林門下の棋士は棋風が似ていて、正統派で、形がきれいでバランスがよい印象です。張六段もこのタイプ。先輩の外柳五段がラストチャンスで新人王をとりましたので、同じくラストチャンスの張六段も、優勝の可能性はあるとみています。

 ◎田中佑樹三段

 田中三段は、戦いが大好きな棋風。あえてあげれば、上野愛咲美六段(第48期新人王戦優勝・23年)、酒井佑規六段(第47期優勝・22年)と同じ「剛腕系」です。

 田中三段は藤井浩貴三段と仲がよく、サッカーも一緒にしています。

 田中三段が自分の棋譜を並べていて、「僕はどうしてこうも、石を取りたい、戦いたいんだろう」と驚いていたと、藤井三段が証言しています。それと、「新人王戦は絶対勝ちたい」といって、めちゃめちゃ気合が入っていると、これも藤井三段が証言しています。

 ◎蕭鈺洋三段

 蕭三段は、バランスがよく、細かい碁で相手よりわずかでも地で上回ることで勝負するタイプです。

 大石を取って“大技を決める”碁ではありません。

 もちろん読む力は十分ありますので、戦いを挑まれれば受けて立つのでしょうが。勝率が高く、昨年夏のディスカバリー杯、岩本薫記念益田杯で優勝するなど、若手棋戦で実績をあげています。

 ◎伊了四段

 伊四段について、寺山怜六段に聞いてみました。「読みの強さが強み。崩れないタイプ」との答えが返ってきました。

 今期の新人王戦の1回戦から3回戦までの棋譜を調べてみたのですが、2回戦、3回戦と中押し勝ちしています。相手の石を潰して、圧勝といっていい勝ち方でした。

 伊四段は棋聖戦Bリーグに所属しています。4人の中では一番高いステージで戦っているといえます。

 優勝候補の本命と見られていた福岡航太朗七段を破ったのも、大事件とは見られませんでした。

◇   ◇

 予想はしにくいですが、安定感と戦っているステージの高さでいえば、張六段と伊四段、若さと勢いでいえば、田中三段と蕭三段といえるでしょうか。

 もし仮に、決勝が張六段対蕭三段であれば、最後まで打つ、ヨセ勝負の碁になるでしょう。

 逆に、決勝が田中三段対伊四段になったら、これは乱戦必至でしょう。

【準決勝の日程】

7月14日(月)
 張瑞傑六段 対 田中佑樹三段

7月17日(木)
 伊了四段 対 蕭鈺洋三段

 いずれも日本棋院東京本院にて、午前10時対局開始予定。日本棋院の「幽玄の間」で中継されます。

トーナメント表


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