2025年7月9日(水)
主張
日本の安保環境
日米軍事同盟が戦争呼び込む
米国のトランプ政権が日本に対し、軍事費の大幅増額を迫っています。要求額は国内総生産(GDP)の3・5%などと報じられています。日本の軍事費は2025年度予算で8・7兆円にもなりますが、GDPの3・5%はおよそ21兆円に上ります。
■首相は軍拡当然視
これは、今の軍事費8・7兆円に、25年度の医療予算12・4兆円を丸々加えてやっと達成できる規模です。「到底、暮らしの予算と両立するはずのない」(日本共産党の田村智子委員長)ものです。
しかし、石破茂首相は米国の要求を拒否しないばかりか、「(軍事費を)増額していくことは当然の国の責任」と述べています。最大の口実は「日本は戦後最も厳しい安全保障環境に直面している」からというものです。
石破氏は首相就任直前の昨年9月、米シンクタンクへの寄稿文で「今のウクライナは明日のアジア」と述べています。では、ロシアによるウクライナ侵略のような危機が日本に直接、迫っていると考えているのか。
石破氏は昨年8月発行の著書『保守政治家』で、「台湾有事」を挙げ、「中国が台湾に武力攻撃を行い、米国がこれに反撃する状況となれば、アジア有数の戦略拠点である在日米軍基地はフル稼働となるでしょう。…そうなれば、日本は中国から直接の脅迫、あるいは武力行使を受けることになる可能性が高まります」と指摘しています。
石破氏は「朝鮮半島有事」にも触れていますが、これも、日本から米軍が出撃し「北朝鮮がこれを受けて、在日米軍基地や日本の政経中枢に対して弾道ミサイル攻撃を仕掛ければ、それは即、日本有事」になるというものです。
ヘグセス米国防長官は3月、「米国は台湾海峡を含むインド太平洋で、強固で即応性があり信頼できる抑止力を維持する」とし、「日本は米国が西太平洋で直面するだろう、どんな緊急事態でも最前線に立つ」と述べています。
米国の介入戦争とそれを支える日米軍事同盟が「日本有事」を呼び込むのであって、国連憲章違反の先制攻撃を公然と行うトランプ政権の下、その危険は高まっています。
■「平和の準備」こそ
日本維新の会や国民民主党など日米軍事同盟維持・強化の立場の党は、石破・自公政権が進める大軍拡に反対することも、トランプ政権による軍事費大幅増の圧力を批判することもできません。
これに対し日本共産党はこうした動きにきっぱり反対。ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力し東アジアでの平和の地域協力の枠組みを発展させる「東アジア平和提言」を行ってきました。
日中関係では、「互いに脅威とならない」とする首脳間の合意(08年)を順守し、中国には東シナ海での力を背景にした現状変更の動きをやめるよう要求。台湾問題では、中国の武力による威嚇や行使にも、米国の軍事的関与や介入にも反対しています。
今大事なのは、日米軍事同盟に基づく「戦争の準備」ではありません。憲法9条を生かした外交による「平和の準備」です。








