2025年7月9日(水)
きょうの潮流
SNSが選挙結果に与える影響の広がりから、新聞、テレビなどマスメディアを役に立たない“オールドメディア”と揶揄(やゆ)する風潮がありますが…▼「選挙や政治に関するニュースを得る際に、最もよく使うメディアや手段」は何か。スマートニュースメディア研究所の調査では、マスメディアをあげた人がSNSの6倍に。中でもテレビは最多の46・5%で、マスメディアへの信頼度は68・7%でした▼予想外の結果ですが、それにテレビは応えているのか。たとえば、参院選公示の第一声。参政党の神谷代表は「子どもを産めるのは若い女性しかいない」として「高齢の女性は子どもが産めない」などと。女性差別と蔑視に満ちた発言でした▼主なニュース番組は、神谷氏のこの暴言を無視、または無批判で報じました。淡々と客観報道で垂れ流すだけでは役割を果たしているとはいえず、違和感しか覚えません▼マスメディアの対応が問われたのは昨年の兵庫県知事選です。当時の維新の会の県議が私的情報に関する怪文書を、斎藤元彦氏を応援する立花孝志氏に渡してSNSや街頭でデマが拡散。攻撃された県議が自死に追い込まれました▼日本新聞協会は「インターネットと選挙報道をめぐる声明」で、刺激的な情報が拡散されやすく、不正確な情報で選挙結果が左右されることが強く懸念されるとの認識を示し、選挙報道のあり方を見直すとしました。いま問われているのは「民主主義の維持発展に貢献することは報道機関の責務」です。








