2025年7月8日(火)
参政党鹿児島県連に架空支出疑惑
リーフ・チラシ・のぼりなど 元広報部長の企業に発注
元衆院候補「見ていない」 複数が証言
参政党元広報部長が経営する映像制作企業に同党鹿児島県支部連合会が2023年に発注した選挙用チラシやのぼりなどが、実際には作られておらず架空支出の疑いがあると複数の同党元衆院候補者が本紙に証言しました。架空支出を政治資金関連書類に記載した場合、政治資金規正法違反にあたる可能性があります。同党の神谷宗幣代表は、「制作物はちゃんとある」と主張していますが、説明責任が問われます。(三浦誠)
![]() (写真)参政党鹿児島県第4支部の内部資料「利用明細報告書」。架空が疑われるのはブリンクジャパンへの発注分(一部加工) |
参政党元衆院鹿児島4区候補の横井さくら氏によると、同党鹿児島県第4支部の「活動費 利用明細報告書」に見たことがない名刺、のぼり、チラシ、個人用リーフレットの約22万円分が、映像制作企業「ブリンクジャパン」(鹿児島市)に発注されていました。
報告書に残す指示
同社の代表取締役は同党元広報部長(24年10月末に退任)です。県連会長が23年6~10月にかけて発注を記入しており、党本部も承認していました。県連も23年分政治資金収支報告書に「選挙活動費(第2区、第3区、第4区分)」と、これらの費用を払ったかのように記載していました。
同第4支部長や県連会計担当者らとやりとりした記録によると、横井氏は24年8月上旬に架空の支出を報告書に入れることはできないと指摘。県連会計担当者からは、県連会長とブリンクジャパン代表と「確認、共有した内容」として、架空が疑われる支出を報告書に残すよう指示がありました。
横井氏は納得できず離党し、昨年10月にこの問題をX(旧ツイッター)で告発しました。すると、神谷代表は「県連に確認したら制作物はちゃんとあるとのこと」とXで反論。街頭演説でも「私は確認した」と述べていました。
しかし横井氏はある党員から架空支出を横井氏のガソリン代に充てるつもりだったと聞いています。この話を同第4支部長にLINEで「本当ですか」と問いただしたところ、「はい。そのように聞いておりました」との返事が返ってきています。
本紙の取材に参政党本部は「すべて実際に作成」したと回答。制作物の費用については、「支払い時期が違ったため期をまたいで翌期の収支報告書に計上」したと説明。23年分収支報告書を訂正し、選挙活動費の「第4区分」との記載を削除するとしました。
![]() (写真)横井さくらさんと参政党鹿児島県第4支部長のLINE。架空支出を「ガソリン代」に充てるつもりだったとの趣旨が書かれています |
「虚偽記載の疑い」
同党元衆院鹿児島3区候補の池田祐晟(ゆうせい)・鹿児島市議=無所属=も本紙の取材に、同党鹿児島県第3支部の「利用明細報告書」に記載された計約26万円分のバナー、ポスター、のぼり、チラシは実物を受け取っても見てもいないと証言しています。記入者は県連会長でブリンクジャパンに発注しています。
池田氏の分は県連の収支報告書に記載され、ブリンクジャパンの領収書も添付されています。参政党本部はこれも制作したとしていますが、池田氏は「虚偽記載の疑いがあると推測する」としています。
神谷代表に説明責任
規正法は収支報告書や政治資金の会計帳簿、明細書に虚偽記載した場合、刑事罰を定めています。政治資金オンブズマン代表の上脇博之神戸学院大学教授は「元候補者本人が『制作物を見ていない』というのだから、神谷代表と参政党は根拠を示して説明する責任がある」と指摘しています。










