2025年7月3日(木)
フランス 猛暑日の働き方、新政令
気候危機で対策義務化
労働組合が歓迎
【ベルリン=吉本博美】フランスでは1日から、猛暑日の働き方についての新たな政令が施行されました。従業員の熱中症予防や心身への負担軽減のために、高温時の作業中断や冷却設備の整備、防護具の提供、水分補給といった対策を義務化します。気候危機の影響で熱波や猛暑日が頻発するもとでの、新たな労働者保護措置として歓迎されています。
主な対象は、建設業や農林業、ごみ収集、野外イベント関係者など屋外作業が多い業種や、換気不良やエアコンのない施設内で働く飲食業、製造業の職場を想定しています。
建設業には「気象による休業」を認め、政府補償のもとで従業員は失業手当を受け取れます。気温の警戒レベルを示す「黄・オレンジ・赤」に応じて対応を判断するよう求めています。
政令は、政府の気候危機適応計画の一環で、労働組合と政府関係機関の協議で構想されました。フランスは2024年の猛暑で、建設業と農業で計6件の死亡事故が発生。同年に国際労働機関(ILO)が発表した高温下の労働に関する新たな勧告を受けての対策です。
ILOは、高温下では即時の健康リスクと、心血管系・呼吸器系・腎臓の慢性疾患の可能性が高まると警告。作業環境の冷却や休憩、水分補給、防護具の提供や教育など、企業や政府による包括的な予防策を勧告しています。
フランスの労働組合、労働総同盟(CGT)は政令を労働者保護の第一歩だと歓迎。さらなる改善として人手不足や対策が難しい企業への支援や、措置の実施基準として、より具体的な温度や湿度、日射量の数値を定めるよう求めました。








