2025年7月3日(木)
自衛隊への若者の名簿提供
自治体の66%に増加
2024年度に自衛官募集のため、高校生・大学生の個人情報を記載した名簿を自衛隊に提供した自治体は1152に上り、23年度より13自治体増えました。全国の自治体の約66%に上ります。防衛省が日本共産党の山添拓参院議員に提出した資料で分かりました。本人の同意のない個人情報提供は重大なプライバシー侵害です。
防衛省は毎年、高校や大学の卒業を控える17~18歳や21~22歳の若者を対象に、住民基本台帳に記載されている氏名、生年月日、住所、性別の4情報の提供を自治体に依頼しています。自衛官募集のはがきの郵送などが目的です。
24年度に紙や電子媒体で名簿を提供した自治体は、全国1741自治体中1152。一方、防衛省・自衛隊による住民基本台帳の閲覧は452自治体で23年度比で23減少しました。住民基本台帳の閲覧や書き写しのみだった自治体が名簿提供に切り替えています。
定員割れが続く自衛官の募集難を背景に、政府は自治体への協力要請を強めています。昨年12月に策定した自衛官募集に向けた基本方針に「すべての市区町村からの提供を目指す」と明記。これを受けて総務、防衛両省は今年3月、都道府県知事や市区町村に通知を出し、住民基本台帳に基づく募集対象者の情報提供は「現行でも可能だ」として協力を促しました。
こうした中、保護者などの市民が声を上げ、奈良県山添村や福岡県太宰府市などでは提供を中止。北海道では、市民と日本共産党議員団の取り組みで名簿提供から閲覧に押し戻した自治体もあります。昨年3月には奈良市で、提供された高校生がプライバシー権の侵害などとして、自衛隊名簿提供違憲訴訟も起きています。
名簿提供は違憲
日本平和委員会の千坂純事務局長の話 名簿提供は憲法13条に反し法的根拠がありません。政府は戦死傷者を想定した戦争体制づくりを進めており、自衛隊と自治体の協力体制は、有事において戦死した自衛官を補充する仕組みになる恐れがあります。名簿提供をやめさせる運動を強めなければなりません。
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