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2025年6月29日(日)

きょうの潮流

 まだ日本が、荒廃と貧しさの中から必死にはい上がろうとしていた時代でした。生活に困窮した者は、無差別平等に国が救済する。新しい憲法のもとで新しい法律がつくられました▼「それは大きな進歩だった」。戦地から戻り厚生省で生活保護法の制定にとりくんだ井出精一郎さんは生前、当時のことを振り返っていました。驚きとともに社会を支える役目をになった誇り。職場にも活気があったといいます▼すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。その理念は戦後日本の出発点でもありました。ところが、「自助」をふりかざし、国の責任を放棄したのが2012年の総選挙で政権に復帰した自民党でした▼史上最大となる生活保護費の10%削減を公約に掲げ、すぐに閣議決定。自公政権の無法に、生きる権利を求めて全国の利用者が声を上げたのが「いのちのとりで裁判」です▼国の減額は違法―最高裁が示した判断は“アベ政治”の断罪とともに、歴史の後退を許さぬものでした。全国でたたかう仲間たちや、ぎりぎりまで生活を切り詰め食事もままならない利用者を励ます画期的な判決。それは生きる勇気にも▼申請をさせないようにする行政の「水際作戦」、くり返されるバッシング。生活保護における日本の差別や偏見は国連からも是正勧告を受けています。貧富の格差が拡大するいま、社会を根底から支える法をさらに活用できるように。それが、一人ひとりの命と暮らしを守ることにつながるはずです。


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