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2025年6月28日(土)

シリーズ 参院選勝利へ 基本政策から

責任ある財源提案で消費税5%に

 消費税減税が参院選の熱い焦点になっています。物価高騰に苦しむ国民の声を受け、主要野党が消費税減税を公約に掲げているからです。いまこそ消費税減税のチャンスです。日本共産党は消費税率を緊急に5%に下げ、さらに消費税廃止を目指します。恒久財源を示して消費税減税を訴えているのは日本共産党だけです。

7割が減税要求

グラフ1

 各紙の世論調査で消費税減税を求める声は7割にのぼっています。「産経」とFNNが14、15両日に実施した合同世論調査では消費税減税について、「すべての消費税率を5%に下げるべきだ」(31・7%)、「食料品の消費税率をゼロにすべきだ」(28・7%)、「消費税は廃止すべきだ」(13・5%)と、なんらかのかたちで消費税負担を減らしてほしいという声は合計73・9%と4分の3近くにのぼります(グラフ1)。消費税減税は国民の声なのです。

 しかし自民党・森山裕幹事長は2日、「消費税を下げるような公約は、どんなことがあってもできない」と強調。自公両党の公約に消費税減税は盛り込まれませんでした。国民世論を無視する両党には参院選で厳しい審判を下し、少数に追い込む必要があります。

物価高騰に有効

グラフ2

 日本共産党が消費税率の5%への引き下げを掲げるのは足もとでの物価高騰に有効だからです。物価値上げの波は食料品にとどまらず、あらゆる商品・サービスに及んでいます。2024年度の消費者物価指数によると、前年度に比べて物価指数が上昇したのは10大費目のうち9費目。食料の5%増のほか、光熱・水道(7・8%増)、教養娯楽(4・1%増)、家具・家事用品(3・8%増)などが目立ちます(グラフ2)。すべての商品・サービスにかかる消費税を減税することで平均的な勤労者世帯で年間12万円もの減税効果となります。食料品だけをゼロ税率にした場合(6万円程度)の2倍の効果です。

 消費税の減税は所得税・住民税非課税世帯も、子どもからお年寄りまでだれでも減税の恩恵を受けることができます。年収200万円未満の単身勤労者世帯でも年間5・5万円の減税効果があり、食料品のみゼロ課税の場合(2・4万円)の2倍以上となります。さらに期間を区切った減税ではなく、当面5%、将来的には廃止をめざすことで買い物のたびにいつでも減税されることになり、景気浮揚効果も期待できます。

インボイス廃止

 23年10月に国民の反対を押し切って導入されたインボイス(適格請求書)制度は、それまで消費税が免税されてきた年間売り上げ1000万円以下の小規模事業者やフリーランスに耐えがたい納税と事務の負担を押しつけています。その導入の口実は、複数税率のもとで適正な課税をおこなうというもの。税率を一律5%にすることでこの口実は消えてなくなります。インボイス制度は廃止します。

財源 大企業から

グラフ3

 消費税率を一律5%に引き下げるためには15兆円の財源が必要となります。政府が「消費税は社会保障の財源」と繰り返すもとで、消費税減税と社会保障改悪をてんびんにかけ、不安に感じる国民もいるかもしれません。「朝日」世論調査では消費税率引き下げによる社会保障への悪影響について不安を「大いに感じる」(19%)、「ある程度感じる」(45%)と合計6割を超えています。

 日本共産党の田村智子委員長は6日の衆院予算委員会で石破茂首相に対し消費税増税と同時期に法人税や所得税最高税率が下げられていることを指摘。社会保障の財源でもある税収を、法人税・所得税から消費税へと置き換えたのは明らかだと強調し、政府が消費税減税を拒む際の「社会保障の財源だから」という理由は「成り立たない」と追及しました(グラフ3)。石破首相が「消費税は安定的に入ってくる」と述べたのに対し、消費税は安定的に搾り取る財源ということだと反論しました。

写真

(写真)質問する田村智子委員長=6日、衆院予算委

 日本共産党はこの大企業・富裕層への減税・優遇をただすことを柱に、恒常的な財源を提案しています。

 自公政府は賃上げや投資拡大が進むとして、大企業減税を繰り返してきました。しかし日本共産党・小池晃書記局長が3月27日の参院財政金融委員会で法人税を減税しても賃上げや設備投資、下請け支援にも回っていないと指摘。石破茂首相は「法人税を下げたことが思ったような効果を上げなかったという深い反省の上に、法人税改革に取り組んでいきたい」と反省を口にしました。大企業減税の見直しは当然です。

 小池書記局長は6月2日の参院予算委員会で今年4月までの1年間で上場企業の自社株買い計画額の合計は21・5兆円にのぼると指摘。「自社株買いは本来投資するべきものを株主に与えるもので、企業の持つ価値や将来性を株主が奪うものになる」と強調しました。減税を受けてきた大企業には株主に21・5兆円もばらまけるのです。さらに昨年1年だけで上場企業は20兆円を超える配当をしています。大企業に担税力があることは明らかです。

 日本共産党は第2次安倍晋三政権以降、23・2%まで下げられた法人税率を28%まで戻す(中小企業を除く)ことに加え、外国子会社からの配当を実質非課税とする制度や、グループ企業の損益を通算して税を減らせるグループ通算制度、研究開発減税などの大企業優遇税制を廃止・縮減します。

グラフ4

 富裕層への減税と優遇も改めます。所得1億円を超えると税負担率が下がる「1億円の壁」は残されたままです(グラフ4)。株取引による所得の税率が15%(住民税合わせて20%)と、低く抑えられているからです。こうした大株主優遇税制をあらためるとともに、所得税・住民税合わせた最高税率を現行の55%から65%に戻します。相続税の最高税率も55%から70%に戻します。これらの税制改革で消費税減税の財源は確保できます。

借金には頼らず

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=2日、参院予算委

 消費税減税のために赤字国債を増発すればいいとの主張もあります。しかし、消費税減税の恒常的な財源を赤字国債=借金にたよることには四つの問題があります。

 第一に国債は不安定な財源です。もし赤字国債にたよるのであれば、消費税減税だけで15兆円もの国債を毎年増発していくことになります。国債は税とは違い、政府が発行したからといって必ずしも買われ、収入が得られるとは限りません。国債が売れなければ消費税減税ができないことになります。

 第二に国債の大量発行で価格が暴落すれば、金利が上昇し、国民生活に多大な影響を与えます。さらに国債の利払い費が増えれば、暮らしの予算も圧迫されます。

 第三に国債の過剰発行で「通貨の過剰」が起こり、インフレのリスクが高まります。インフレになったら消費税減税の効果も消し飛んでしまいます。

 第四に赤字国債で消費税減税をおこなうと主張する勢力には大企業と富裕層に応分の負担を求める立場が欠落しています。それは大企業・富裕層優遇の税制を温存することにつながります。大企業や富裕層に消費税減税の財源を求めず、国債の増発で消費税減税を行うということは、「国債で大企業・富裕層減税を支える」ということになってしまうのです。


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