2025年6月28日(土)
生活保護費減額は違法 最高裁統一判断
自公政権の施策断罪
原告利用者の勝訴確定
厚労相判断に過誤・欠落
生活保護基準の大幅な引き下げは憲法25条の生存権に反するとして、全国の利用者が国と自治体を訴えた「いのちのとりで裁判」の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は27日、保護基準引き下げを「違法」とする初の統一判断を示しました。2014年から全国29都道府県で1000人超がたたかうなかでの「画期的判決」(原告弁護団)です。
![]() (写真)いのちのとりで裁判の上告審判決後、笑顔で「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告ら=27日午後、東京都千代田区 |
宇賀裁判長が判決を読み上げると、法廷の傍聴席の支援者から安堵(あんど)のため息が聞かれました。最高裁前では、弁護団が「司法は生きていた」「勝訴」と書かれた紙を掲げました。集まった原告、支援者らは大きな歓声を上げました。
判決は、厚生労働省が保護基準引き下げで物価下落率を使った「デフレ調整」には合理性がないと指摘。同調整は社会保障審議会の生活保護基準部会などによる検討を経ておらず、専門的知見の裏付けを認められないとしました。そのうえで厚生労働相の判断の過程・手続きには過誤、欠落があり、生活保護法違反だと認定しました。
判決は、国に対する損害賠償請求を棄却しました。一方、宇賀裁判長は「反対意見」で、利用者が最低限度の生活を満たせない状態を9年以上にわたり強いられてきたとして、「精神的損害を慰謝する」必要性を指摘。少なくとも1万円以上の請求を認めるべきだとしました。
上告審の対象になった二つの訴訟のうち、名古屋訴訟原告の千代盛学さんは「感無量です。政治家には二度とこうした訴訟が起きないよう求めたい」と述べ、大阪訴訟原告の小寺アイ子さんは「勝つと信じていたけど、判決を聞くまでは足はがくがくでした。皆さんのおかげです」と涙ながらに語りました。
名古屋訴訟原告弁護団の内河惠一団長は、保護基準引き下げは12年の総選挙での自民党選挙公約を厚労省が実行したものだと批判し、「判決は、利用者の実態に思いをはせ、人間的な配慮がなされた。国に対し、利用者が生活を回復する努力をしたい」と述べました。大阪訴訟弁護団の小久保哲郎事務局長は「完勝と言える」と語りました。
大阪高裁判決(23年4月)では原告の請求を棄却。一方、名古屋高裁判決(23年11月)では、保護基準引き下げを違法として減額決定を取り消し、国に慰謝料を命じました。









