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2025年6月27日(金)

主張

改正風営法の施行

性売買・搾取の禁止こそ必要

 ホストへの恋愛感情を利用して女性客を借金づけにし、返済のために売春や性風俗店勤務、AV出演などを強要する―悪質なホストクラブをめぐる被害が後を絶ちません。

 警察への相談件数は2021年の2044件から24年の2776件へと増加しています。社会的批判の高まりを受け、先の国会で風俗営業適正化法(風営法)が全会一致で改正され、一部を除き28日から施行されます。

 改正法は、ホストへの恋愛感情を利用し、あるいは酒に酔わせるなど正常な判断ができない状態で高額な遊興・飲食をさせて支払い能力を超える借金を重ねさせる行為を行政処分(営業停止・営業許可取り消し)の対象にします。

 借金取り立てを目的に「威迫、困惑」させることや、料金支払いのため女性客を路上売春や性風俗店で働かせる行為に刑事罰を科します。

 改正法の厳格な適用が求められます。

■女性への人権侵害

 それらの行為の悪質さは、家庭内で虐待などの被害に遭い、所持金も居場所もない10代、20代の困難を抱える女性を性的搾取のターゲットにするところにあります。女性に対する重大な人権侵害にほかなりません。

 18歳の時に被害に遭った女性は、ホストの強引な客引きを断り切れずホストクラブに引き入れられたことをきっかけに、ホストから結婚をほのめかされるなど、自分が必要とされていると思い込まされるなかで高額な遊興・飲食を重ね、その借金返済のために性風俗店での売春を強要されました。

 現行法や自治体の条例でも強引な客引きは取り締まりの対象とされていますが、対応は不十分なばかりか、居場所のない女性を保護・支援するのではなく、補導し、非行問題として処罰的に扱っているのが実態です。女性たちを支援するNPO関係者は「警察が捕まえるべきなのは女の子たちではなく、買春する男たちや性売買に斡旋(あっせん)する業者の方だ」と訴えています。

■罰すべきは買春者

 風俗営業の「健全化」「適正化」を目的とする風営法は、風俗営業(キャバレー、スナックなど接待飲食等営業)を許可制とする一方、性交類似行為をサービスとして提供する性風俗関連特殊営業(ソープランド、ファッションヘルス、デリバリーヘルスなど)を届け出だけで合法化しています。そのため、買春者が処罰されない売春防止法と相まって、性風俗業での性売買が黙認されているのが実態です。

 問題の根本的な解決のためには、売春防止法を性風俗事業者と買春者を処罰する内容に抜本的に改正するなど、性売買・性搾取を厳格に禁じることが必要です。

 困難を抱える女性を性的搾取の被害から守るための福祉的支援や相談支援の中心を担う女性相談支援センターの体制強化も不可欠です。

 しかし、実際に相談を受ける女性相談支援員は、高度な専門知識と経験が求められるにもかかわらず、その約9割が非正規職員という実態です。専門性にふさわしい安定した雇用、賃金水準の引き上げなど処遇改善が急務です。


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