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2025年6月27日(金)

きょうの潮流

 正義というのは、何かやっつけてしまうことじゃない。いま困っている人を助ける。助けられる方の身になって助ける。それが、正義だと思うんですよ―▼漫画家の、やなせたかしさんが旧知との対談で語っていました。相手は共産党の衆院議員を長く務めた山原健二郎さん。ふたりは同じ高知の出身で戦後、地元の高知新聞に同期入社した友人でした▼ともに中国戦線へ出征。軍隊や戦争の理不尽さをいやというほど味わいました。正義の戦争だと思って行ったら、それが大変な間違いだということが後で分かったと、やなせさん。「戦争はどんな理由があってもやっちゃいけない」と▼弟を特攻で亡くしたやなせさんは、戦争をとことん嫌っていました。そして、その戦争に命がけで反対した共産党の山原さんとは、歩んだ道は違っても心につよく響き合うものがありました。人にやさしい社会をつくりたいという思いも▼やなせさんと、妻の小松暢(のぶ)さんをモデルにした朝ドラ「あんぱん」で、こんな場面がありました。戦地から帰還した「たかし」が「のぶ」に語りかけます。正しい戦争なんかあるわけがないんだ、簡単にひっくり返る正義を信じちゃいけない。でも、もし逆転しない正義があるとしたら…▼ひっくり返らない正義とは何だろうか。やなせさんが追い求めた先にあったのは献身と愛でした。それは大げさなことではなく目の前に飢えている人がいたら、その人に一片のパンを与える。後の「アンパンマン」につながる原点です。


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