2025年6月26日(木)
主張
選択的夫婦別姓
参院選の審判で実現させよう
「自分の名前で生きたい」―選択的夫婦別姓について28年ぶりに衆院で法案の審議が行われ、切実な声が国会に届けられました。総選挙で与党過半数割れに追い込んだことが、国民の要求実現へ向け政治を動かしました。
選択的夫婦別姓制度を導入する立憲民主と国民民主の2法案と通称使用を法制化する維新の会の法案は継続審議となり、次の臨時国会で再度、審議されます。合意を形成し、選択的夫婦別姓を実現する法案の成立が求められます。
日本共産党の本村伸子衆院議員は国会で個人の尊厳と両性の本質的平等を保障する立場で論戦し、当事者の声を審議に反映するため参考人質疑や公聴会を求めてきました。
■必要性の訴え次々
2回の参考人質疑では選択的夫婦別姓の必要性が語られました。家族心理学が専門の布柴靖枝・文教大学教授は、アイデンティティーとは自分が何者なのかという感覚であり、自身のアイデンティティーを明白にするためにも姓を選択できることが大事だと強調しました。夫婦別姓制度で子どもの権利が侵害されるとの主張には「親子で姓が異なることだけを理由に子どもの心の成長に悪影響を与えることは私の40年の臨床ではない」と断言しました。
経団連審議員会副議長の次原悦子氏は、通称使用では姓が変わることによるアイデンティティーの喪失感を拭うことはできないと述べました。制度実現を目指す「あすには」の井田奈穂代表理事は「生まれ持った氏名で結婚し生きたいという願いを否定し喪失感を与えているのが現行法だ」と訴えました。事実婚当事者の割田伊織さんは「すぐに選択的夫婦別姓を実現してほしい」と思いを語りました。
第3次選択的夫婦別姓訴訟の寺原真希子弁護団長は、妻が改姓したケースで8割が話し合いがないとの調査を示し、憲法24条は婚姻は両性の合意のみに基づくと定めているが、同姓強制要件のため自由かつ平等な意思が保障されていないと指摘しました。
男女共同参画学協会連絡会の志牟田美佐さんは研究者へのアンケート結果を示し、改姓により業績が継続されない状況を述べました。
■臨時国会で共同を
事実と実態をふまえた陳述で、自民党や維新の会などの「通称使用」法制化では問題を解決できないことが浮き彫りになり、参政党や保守党の人権保障に逆行する姿勢もはっきりしました。
日本共産党は子の名字を出生時に定め、きょうだいで異なる名字もあり得るという多様性を認める立場です。立民案は婚姻時に定める点で共産党案と異なりますが、1996年の法制審議会の答申案と別姓制度についての考え方が同じで、経団連はじめ幅広い人との共同が可能な案で、共産党も賛同してきました。
夫婦同姓の強制は、「戸主」のもとで家族全員が一つの「家の氏」を称した家制度の名残です。古い価値観に固執する一部勢力が法改正を阻んでいます。参院選で、人権保障の足を引っ張る政党や議員に厳しい審判を下し、秋の臨時国会で選択的夫婦別姓を必ず実現しましょう。








