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2025年6月17日(火)

政治考

自民党政治の行き詰まり末期的

血税使った給付金・米不足招いた失政・医療崩壊を加速

根本転換 選挙の熱い争点に

 長引く物価高に米不足・米価高騰、農業や医療・介護の基盤崩壊…自民党政治の行き詰まりが極限状態です。この危機に無策で、国民が願う消費税減税にも背をむけ、大軍拡にひた走る石破茂政権。末期的な状態の悪政を転換することが参院選(7月20日投票予定)、東京都議選(22日投票)の熱い争点になっています。(伊藤紀夫)


 自公政治の末期的状態を象徴的に示したのが、石破首相が都議選告示日の13日に突然表明した国民1人当たり2万円の給付金です。

 物価高に苦しむ国民をよそに大軍拡を進め、大企業・富裕層優遇の不公平税制を温存する石破政権は、国民の7割が求める消費税減税をあくまで拒否。一方で、物価対策とも言えない血税を使った「選挙対策」を持ち出したのです。4月にも現金給付を検討して批判され、ひっこめたのに選挙前にまた出してきました。世論調査では「評価しない」が7割に上っています。

 日本共産党は14日、田村智子委員長が「選挙になったら、一回きりの給付金ばかり。消費税減税をやらないためのごまかしです」と厳しく批判。志位和夫議長は「消費税減税にこそ踏み出すべきです」と訴えました。

米不足は政治災害

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(写真)減反から米増産への転換を求め農水省に抗議する人たち=11日、農水省正門前

 「昨年の2倍に高騰した米価」「米不足で店頭から消える米」「米作って飯食えず激減する農家」。主食の米が前代未聞の危機に直面しています。

 昨年から米不足で買い付け競争が過熱して価格が高騰しているのに、政府は「米は足りている」と備蓄米の放出を再三拒否してきました。それが米価高騰に拍車をかけました。米不足は農家に減反・減産を押し付け、米価を市場任せにしてきた結果です。

 「これは政治災害です」。農民運動全国連合会(農民連)の長谷川敏郎会長は11日、農林水産省前の緊急行動で訴えました。「長年の低米価によって離農、廃業に歯止めがかからず、米の生産基盤が衰退しています。米屋さんが米の仕入れができず休廃業を余儀なくされ、国民の生活苦は深刻度を増しています。トランプ関税で米を交渉カードに差し出すことは絶対反対です。生産者も消費者も米屋さんも安心できる米政策への転換を求めます」

 北海道当別町の男性は「『北海道バレー構想』に躍起になり、半導体には2兆円の支援を決めています。離農や後継者問題に悩みながら農業を続けている農家をこれ以上犠牲にしないでほしい。どうして対策と税金の使い方を間違えるのでしょうか。令和の米騒動、トランプの関税いじめで目を覚ましてほしい」と怒りをぶつけました。

 小泉進次郎農林水産相は今、随意契約による備蓄米放出で米価を下げると言い、連日テレビが報道しています。

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 「まさに『小泉劇場』の様相です」と法政大学名誉教授の五十嵐仁さん(政治学)は言います。「国民の怒りに追い詰められた自民党は、米の増産を言わざるを得なくなりました。しかし、あくまで米の供給不足を認めず、小手先の対策で選挙を乗り切ろうとする魂胆です。父親の小泉純一郎元首相が『自民党をぶっ壊す』と言って国民をだまし、今度は息子にだまされる。そんな情けないことは繰り返してはなりません」

突然病院なくなる

 「ある日突然、病院をはじめとした医療機関が地域からなくなってしまう」。日本医師会・6病院団体が3月12日に出した声明は医療崩壊を告発しました。

 自公政権が社会保障の自然増を削減し続けた結果、国が決める診療報酬は薬価などの改定を含めた全体の改定率が5回連続マイナスです。物価高騰や賃金上昇にも対応できず、病院の6割が赤字に陥り、急激な経営難で診療科や入院患者受け入れの削減、救急医療の廃止、医療従事者の大量離職が広がっています。

 全国保険医団体連合会(保団連)が12日、厚生労働省で開いた記者会見では、医療従事者の痛切な声が紹介され、「物価高、賃金上昇の部分を診療報酬にしっかり反映してほしい」との声が上がりました。

 「コロナ禍では患者を救うために自ら感染リスクを負いながら対応してきました。それなのに『金を出し過ぎた』と社会保障の削減で全国の病院がつぶされそうになっています。コロナ禍でもてはやされ、用済みとなれば捨てられる感覚です」

すり寄り競争の党

 国民を苦しめる自民党政治を助けているのが日本維新の会と国民民主党です。

 維新は、自民、公明と「医療費4兆円削減」に合意し、その一歩として病床11万削減を打ち出して医療危機に拍車をかけています。

 「大量の病床削減は、減反政策の医療版です」と保団連の山崎利彦理事は会見で批判しました。「政府は国民の生命、財産、健康を切り詰めて、大企業に利益を与える方針をとっています。予算がないと言いますが、内部留保を毎年増やしている大企業の法人税を上げるなどすれば、医療費を増やすことは可能です」

 五十嵐さんは「維新が医療費削減で自公と合意すると、負けてはならじと国民民主が企業・団体献金存続の提案をしてアピールする。自民へのすり寄り競争で先陣争いをし、助け舟を出す政党のおかげで、過半数割れした自公政権は沈没しないですんでいるのです」と指摘します。

 トランプ米政権が国際経済ルールを乱暴に破り、一方的に高関税を押し付ける中、世界でも日本でも米国でも怒りが広がっています。世論調査でも日米外交について「なるべく自立したほうがよい」が68%を占める(「朝日」)など、大きな変化が生まれています。

 ここでも米国言いなりの政治の行き詰まりが表面化しています。しかし、石破政権は国内総生産(GDP)比2%の大軍拡に加え、GDP比3%を求めるトランプ政権に屈して、さらに増やそうとしています。

政策際立つ共産党

 「今、自民党政治の根本的転換を求める共産党の政策が際立っています」と五十嵐さんは語ります。

 「自民党のように大企業や富裕層に気兼ねすることなく応分の負担を求める財源論を主張できるのは共産党だけです。米国言いなりの大軍拡に反対し、憲法にもとづく平和外交への転換を言えるのも共産党しかありません。参院選、都議選は、共産党の躍進で積年の自民党の悪政に責任をとらせる絶好のチャンスです」


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