2025年6月17日(火)
学術会議解体法「遺憾」
歴代6会長声明「独立性守れ」
![]() (写真)会見をする4人の学術会議元会長(右から広渡、山極、大西、黒川の各氏)=16日、東京都千代田区 |
日本学術会議の歴代会長4氏は16日、日本記者クラブで記者会見を開き、日本学術会議を解体し特殊法人化する法律の成立を受け「心から遺憾」だとする声明を発表しました。
声明は石破茂首相に対し、新法の下でも学問の自由を保障し、同会議の独立性と自主性を擁護するよう要請。広渡清吾・東大名誉教授は会見で、法人発足時の会員選考は現行学術会議総会の承認が必要だと指摘し「これまでの学術会議の精神を堅持するためにあらゆる可能性を追求し、市民の応援も求め、変質に歯止めをかけてほしい」と学術会議に呼びかけました。
声明は、広渡氏と吉川弘之、黒川清、大西隆、山極寿一、梶田隆章の6氏の連名によるもの。新法は、首相任命の監事や評価委員などを新設し、学術会議を政府の監督下に置く仕組みを幾重にも導入しており、来年10月の新法人発足時の会員選考を担う「候補者選考委員会」の委員は、会長が首相指定の有識者と協議した上で任命します。6氏は法案審議中の5月にも廃案を求める声明を出していました。
今回の声明は、法人発足までの間、現行学術会議はその独立性を堅持する新法の具体的運用を徹底的に議論し構築する必要があると強調。新法が規定するさまざまな首相の権限については、首相の専断に委ねるべきではないと指摘し、首相と同会議の協議が必要だと主張しています。特に新法人設立時の会員を選ぶ「候補者選考委員会」委員は、現会員から積極的に任命すべきだとしています。
会見で山極氏は、会員選考を担う委員に首相の意向を反映する人が任命され、理由なく候補者を拒否することが起こりうると指摘。広渡氏は、新法成立直後に防衛省が先端軍事技術に関する助言や提言を受けるために設置した常設の防衛科学技術委員会(DSTB)にも言及し、「大きな危惧を覚えた」と述べました。