2025年5月31日(土)
年金改革法案に対する田村貴昭議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の田村貴昭議員が30日の衆院本会議で行った年金改革法案(国民年金法改定案)に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
最大の問題は、物価が上がっても年金給付水準は引き上げないマクロ経済スライドによる年金削減を、今後も数十年間続けることです。給付水準はマクロ経済スライド導入から20年間で実質約1割も削減され、マクロ経済スライドによる給付調整は2052年度まで継続する見込みです。給付水準は、現在から実質15%下がります。
マクロ経済スライドの長期化による給付水準低下が大きな問題であることは、党派を超えて広く認識されています。しかし、自民・立民・公明による本法案の修正案は、マクロ経済スライドを直ちに止めるものではなく、早期終了の措置を講じても、給付水準は今後10年以上にわたって削減が継続され実質10%引き下げられます。
調整期間の長期化で、現在の受給者や就職氷河期世代の一部は年金の実質価値が生涯減り続け、減らされる年金が若い世代にも引き継がれます。
日本共産党は、年金生活者の暮らしを守り、現役世代の大幅減額を避けるため、マクロ経済スライドを直ちに停止するための修正案を提出しました。公的年金制度の財政基盤を強化し、マクロ経済スライドを速やかに終了させるには、厚生年金の積立金を活用し、基礎年金の調整期間の早期終了の措置を講じ、厚生年金保険料の上限を現在の年収1000万円から、医療保険並みの年収2000万円に引き上げ、短時間労働者の適用拡大を行うことが必要です。
本法案が盛り込む遺族厚生年金の給付削減、配偶者加給年金の引き下げは、配偶者に先立たれた遺族や新規年金受給者の生活を不安定化・困窮化させるもので容認できません。
24年度の障害年金の不支給が、前年度の2倍以上に急増し約3万人となることが4月に報道されました。低収入の障害者にとって障害年金の可否は死活問題です。事実関係を調査公表し是正することを求めます。
今回の法改定でも、無年金・低年金の問題は解決されていません。就職氷河期世代などの無年金・低年金者の増加が懸念されますが、解決には最低保障年金制度の導入が不可欠です。国連社会権規約委員会も「最低年金を公的年金制度に導入すること」をたびたび勧告しています。これに応え導入に踏み出すべきです。