2025年5月31日(土)
軍事研究助成 大学応募3倍
補助金制度新設で「受けやすく」急増
25年度
![]() |
防衛装備庁は30日、兵器などの開発につながる研究に資金提供する「安全保障技術研究推進制度」の応募状況を公表し、2025年度に大学などの応募が前年度の44件から約2・8倍の123件に急増し、過去最多となったことが分かりました。企業や公的研究機関を含めた全体でも前年度比で約1・7倍の340件と過去最多を更新しました。
従来、同制度は委託形式のみでしたが、今回から補助金で支援する「タイプD」を新設。補助率100%で、5年間で最大20億円の補助金を交付します。
補助金制度を創設した理由は、軍事動員への批判を回避して大学に応募を促すためです。防衛装備庁の松本恭典技術戦略部長は昨年11月の講演で「大学側から『防衛省の研究委託は受けにくい。補助金なら(受けやすい)』と話があった。その建前的な部分で補助金を出す」と述べました。
説明資料には、研究によって得られた知的財産や資産は研究者に帰属する一方、「実施権を国および国の指定する第三者に許諾していただく場合がある」と明記。装備庁は「国費で補助率100%の事業なので研究成果は国の目的に使用することが適切」としており、「許諾」を得た研究成果を積極的に軍事利用していくとみられます。
「安全保障技術研究推進制度」を巡り、日本学術会議は17年の声明で参加に慎重な姿勢を示しました。政府は日本学術会議解体法案を成立させ、同制度を通じて軍事研究に大学を従事させることを狙っています。