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2025年5月30日(金)

きょうの潮流

 震災の石川から、大火の新潟・糸魚川から、喜びの声があがっています。「明るい話題を届けられたと思うので、さらにがんばりたい」と本人も▼75代の横綱となった大の里です。石川県の津幡町出身。実家も停電や断水の被害をうけ、内灘町に住む祖父は今も仮設住宅で暮らしています。ふるさとを励ますため土俵の合間をぬって被災地を回る姿も。糸魚川は、相撲の強豪校に進むため親元を離れて中学・高校時代を過ごした地です▼ゆかりは青森にも。四股名(しこな)は、相撲の神様と称された藤崎町出身の大ノ里から受け継ぎました。小柄ながら大正から昭和初期にかけて活躍した大関で、元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方から打診をうけた親族が快諾したといいます▼その親方は、自身がけがに泣いただけに、相撲の基本である四股やすり足、腰割り、てっぽうなどの地道な稽古を徹底して指導。大の里の迷いのない素早い攻めは、そうした基礎に裏打ちされています▼一昨年の夏場所で初土俵を踏んでからわずか2年余り。所要13場所。類を見ない速さで最高位までのぼりつめました。昇進伝達式の口上は「唯一無二の横綱をめざします」。恵まれた体格、鍛え上げた足腰からうみだされるパワーとスピードはさらなる飛躍の期待を▼まだ24歳。昨年には未成年力士へのいじめや飲酒の強要が報じられました。謝罪会見は開いたものの核心には触れずじまい。強さだけでなく、人としての鍛錬も。それが唯一無二の力士となる道ではないでしょうか。


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