2025年5月29日(木)
参院本会議 学術会議解体法案
井上議員の質問(要旨)
日本共産党の井上哲士議員が28日の参院本会議で行った学術会議解体法案への質問(要旨)は次の通り。
学術会議会員の首相任命が形式的なものであることは確定した法解釈であるのに、政府は一方的に解釈変更し、2020年に6人の任命を拒否しました。
学術会議事務局と内閣法制局との間の解釈変更の検討過程を示す文書の黒塗り部分の開示は、内閣委員会での理事会協議事項となったまま実現していません。一方、東京地裁は16日、開示を命令しました。不開示部分は本法案で首相が監事などを指名する場合の問題意識と密接に結びつくもので、このままの法案審議入りは許されません。政府は直ちに控訴を取り下げ開示するべきで、法案提出の資格はありません。
坂井学内閣府担当相の衆院での「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は、今度の法案の中で解任できる」との答弁は即刻撤回すべきです。
学術会議は、防衛装備庁の研究委託制度に対し、研究への介入を指摘し、慎重な判断を求める声明(17年)を出し、以降、政府は学術会議への介入を強めました。本法案は、学術を軍事に動員するため学術会議から独立性を奪い、時の政権の意に沿う別組織につくりかえるものです。
そのことは、法案が「科学者の総意の下に…設立される」と明記した現行法の前文を削除していることに示されています。
4月の学術会議総会決議は、同会議の合意もないままの法案提出は「遺憾」と批判しています。法案の提出自体、日本の科学者の総意を否定するあからさまな政治介入です。法案は、幾重にも政府が介入する仕組みを定め、同会議は、独立した自由な学術の営みを代表するアカデミーの活動を阻害し到底受け入れられないと表明しています。
「学術会議が政府から自立した存在であることが、国際的な信用を得ることにもつながっている」「(本法案により)アカデミアとしての信用は失墜してしまう」との指摘があります。
学問の自由は、科学者集団の自律的な規律があってこそ保障されます。
法案は、会員以外でつくる「選定助言委員会」が、個別の会員選考に意見を述べることを否定していません。世界のアカデミーで採用されている標準的なコ・オプテーション方式(現会員が次期会員を選任)とは相いれません。
学術を軍事動員し目先の経済的利益の獲得に貢献させるため学術会議を解体する本法案は廃案以外ありません。








