2025年5月28日(水)
きょうの潮流
なるべく早く結婚せよ、悪い遺伝のない人を選べ、父母長上の意見を尊重せよ。朝ドラにも出てきた「結婚十訓」は戦前の政府がナチス・ドイツにならってつくったといわれます▼すべては第10条の「産めよ育てよ国の為(ため)」で「産めよ殖(ふ)やせよ」のスローガンもこれが元になったと。その後も平均5人の出産を推進する「人口政策確立要綱」が閣議決定されるなど、戦争拡大とともに結婚・出産は国策となっていきました▼戦後の憲法のもとで、この国の結婚観は大きく変わりました。結婚や出産は個人の自由となり、当事者同士の合意で結ばれる姿は当たり前のように。しかし80年がたった今、日本は結婚をめぐり遅れた課題を突きつけられています▼同性同士の結婚を認めないのは憲法違反にあたるとして、同性カップルらが国に損害賠償を求めた東京2次訴訟の控訴審が先日結審しました。原告のひとりは「異性婚と同じように結婚を通して幸せを追求する選択肢がほしい」と涙ながらに訴えました▼同性婚をめぐる全国六つの訴訟では、これまで五つの高裁ですべて違憲判決が示されています。いずれも「法の下の平等」を定める憲法14条1項、「個人の尊厳と両性の平等」に立脚した法を求めた憲法24条2項に反するとして▼札幌高裁は婚姻の自由を定めた24条1項に照らしても違憲だと。選択的夫婦別姓制度とともに、国は一刻も早く性別にとらわれない「婚姻の平等」の法制化に進むべきです。すべての人に結婚の自由を認めるために。








