2025年5月27日(火)
きょうの潮流
先日、本場の本格水餃子(ギョーザ)作りが体験できる催しがあると聞いて、長野県阿智村にある満蒙開拓平和記念館に足を運びました。指導は中国からの帰国者、残留孤児だった勝野憲治さんと池田肇さんです▼皮づくりは、ボウルに強力粉と薄力粉を混ぜ入れて水で溶きながら粘り気が出るまでこねます。生地を少し寝かせ、麺棒で丸く広げます。その手際よさに参加した子たちから歓声が。「中国ではどんな時に食べましたか」との質問や会話が弾みます▼「主食はとうもろこし。餃子は正月にたくさん作り、1月いっぱい食べたよ」と92歳になる勝野さん。満蒙開拓団の思い出を断片的に語ります▼「兵隊さんの食料が不足している。満州に行こう」。街頭ラジオからの国の呼びかけに応え、一家で「満州」へ。ソ連軍の侵攻で大混乱する中、日本は敗戦。当時12歳でした。難民収容所では食べ物もなく何百人もの人が亡くなりました。両親と妹3人を亡くし、残った姉や弟も消息不明に。「戦争は二度と起こしてはいけない」と胸に刻みました▼自身は助けられた養父母の家庭で「李春林」の中国名で実の子として育てられました。中国人女性と結婚後も望郷の念は消えず、日中国交回復後の1974年に帰国しました▼国策で「満州」に渡らせられ、現地の土地や家を奪い侵略に加担した満蒙開拓団は約27万人。さまざまな事情で残された孤児は3千人とも。「満蒙開拓の史実を通じて、戦争の悲惨さと平和を語り継ぐ」記念館の取り組みは続きます。








