2025年5月27日(火)
核なき未来へ行動を
フィンランドで被爆者講演
![]() (写真)フィンランドの多文化イベントで講演する広島県被団協の佐久間邦彦理事長=25日、ヘルシンキ(吉本博美撮影) |
【ヘルシンキ=吉本博美】北欧フィンランドの首都ヘルシンキで25日に開かれた多文化フェスティバル「ワールド・ビレッジ・フェスティバル」に、広島県原爆被害者団体協議会(広島県被団協)の佐久間邦彦理事長と原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の土田弥生事務局次長らが参加し、被爆証言や日本の反核平和運動について講演しました。同国はロシアによるウクライナ侵略を機に北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、軍事費を増額しています。佐久間氏は「希望を忘れず核兵器のない未来に向けて行動してほしい」と呼びかけました。
佐久間氏は生後9カ月で被爆。11歳の頃に腎臓と肝臓を患い「死ぬのではないか」と不安になったことや、母親が原因不明の病で亡くなった経験を語り、差別と偏見も被爆者を苦しめたと話しました。
世界でかつてなく核兵器が使用される危険があり「核のタブーが壊されようとする瀬戸際にいる」と懸念を表明。フィンランド政府が核兵器禁止条約に参加するよう、国民的運動を起こしてほしいと呼びかけました。100人規模の会場は満席で、大きな拍手に包まれました。
講演後の市民との交流では「なぜ日本政府は禁止条約に参加しないのか」と問われたのに対し、土田氏は米国の「核抑止力」に依存しているからだと背景を説明。世論の約8割は禁止条約を支持し、約280万人以上が日本政府に条約参加を求める署名をしたと紹介し「核依存や軍拡を進める政治を変えるために、国民の圧力が何よりも大切だ」と訴えました。
小学生の息子を連れたアイラさん(43)は、「佐久間氏が子どもの頃に放射能が原因で病気が発症し、現在でもトラウマを抱えていることがショックだった。核兵器では平和は築かれないこと、行動する大切さを学ばせてもらった」と話しました。









