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2025年5月26日(月)

NHK日曜討論 小池書記局長の発言

 25日のNHK「日曜討論」は、国会で審議中の年金改革法案を中心に、年金制度改革が議論になりました。日本共産党から小池晃書記局長が出席しました。同法案をめぐっては、基礎年金の底上げを盛り込む立民の修正措置を自民が大筋合意。一方、年金額を物価上昇より低く抑え、年金を自動的に削減する「マクロ経済スライド」は温存されます。

マクロ経済スライド

速やかに中止を

 小池 最大の問題はマクロ経済スライドです。2004年の年金制度改定の際、政府は「百年安心」だと言いましたが、その後年金は8・6%目減りして、高齢者の年金生活者の暮らしは本当に逼迫(ひっぱく)しています。しかもマクロ経済スライドは23年に終了するといっていたのに、これから25年以上も続く。そうすると基礎年金は(24年度比で)3割も目減りしてしまう。巨額の積立金の活用と、頭打ちになっている高額所得者の年金保険料の上限を健康保険並みに引き上げて財源をつくり、速やかにマクロ経済スライドを中止すべきです。

基礎年金の底上げ

厚生年金の活用を

 基礎年金の底上げについて、政府案は厚生年金の積立金が国民年金に流用されるとの懸念も出ています。

 小池 「基礎年金」は国民年金だけではなく、年金全体の1階部分なので、これは「流用」ではありません。本来は厚生年金に入るべき非正規雇用の労働者が国民年金に入っている実態もあるので、基礎年金の底上げに厚生年金の積立金を活用することには正当性があると思います。「流用」というのであれば、年金の積立金を株式投資に使うことこそ、私は流用だと思います。ただ、自民・立民の修正案では、(基礎年金の底上げは)5年後の制度改正で検討するとなっています。「あんこ(基礎年金の底上げ)のないあんパン」が5年間続くうえに、その後もマクロ経済スライドは10年間は続くという案ですから、これでは解決にならない。マクロ経済スライドは今すぐ止めることこそ必要です。

厚生年金の適用拡大

中小に十分支援を

 年金改革法案では厚生年金の適用範囲拡大が盛り込まれ、年収による「壁」や事業所の規模といった要件が緩和されています。

 小池 非正規雇用の労働者でも、正規雇用でも、中小零細企業でも厚生年金に入れるようにすることは必要なことだと思います。その際に大事なのは、中小企業に十分な支援を行うことです。物価を上回る賃上げのカギは中小企業ですから。そのためにも(中小企業への)直接支援が必要です。最も効果的なのは、社会保険料の事業主負担の軽減です。(今回の厚生年金の適用拡大に対する)政府の財政支援は3年間だけとなっていますが、これでは不十分です。抜本的な中小企業支援とセットでやっていかなければいけない。

 大量の低年金・無年金者が発生するおそれがある「就職氷河期世代」への支援も議題となりました。

最低保障年金の創設

国連も導入を勧告

 小池 最優先でやるべきは、マクロ経済スライドを止めることです。就職氷河期世代にとっても、これが一番打撃ですから。(自民と立民が合意した)基礎年金の底上げをやったとしても、マクロ経済スライドが続けば、年金額は今より10%カットされます。

 抜本改革のためには、最低保障年金制度が必要です。多くの国が採用しており、国連も導入を勧告しています。すでに26万人もの無年金者がいると言われており、就職氷河期世代を含め、さらに多くの無年金者が生まれてくる可能性があります。憲法25条の生存権を保障するためにもやるべきです。軍事費に5年間で43兆円も使うのではなく、国民の暮らしのためにこそ税金を使うべきです。

徹底審議が必要

採決なんてとんでもない

 最後に、年金制度改革をめぐる今後の課題について各党が発言しました。

 小池 厚生年金では給付の5年分の290兆円、国民年金では3・8年分の14兆円も積み上がった年金の積立金を活用するとともに、高額所得者の保険料の上限を健康保険と同水準に引き上げることで年金財政をつくっていくべきです。こんな大事な問題(年金改革法案)を5月の終わりになって国会に提出すること自体が大問題で、国民の暮らしを軽視していると言わざるをえません。参考人招致はもちろん、地方公聴会なども含めて、徹底的な審議をやらないといけない。今週末の採決日程が言われていますが、とんでもないです。


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