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2025年5月23日(金)

きょうの潮流

 「貧乏な人とは、物を持っていない人ではなく、物がいくらあっても満足しない人だ」。本当の貧しさ、本当の豊かさとは何かを人びとに問いかけ続けました▼世界一貧しい大統領と呼ばれた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が亡くなりました。物質的な豊かさだけが人間の幸福ではないと大量消費社会を批判。自身も質素なくらしに徹し、給与のほとんどを貧困に苦しむ人たちに寄付していました▼幼いころに父を亡くし、貧困や格差に矛盾を感じて20代で反政府ゲリラ組織に参加。軍事政権下で10年以上も刑務所に収監されました。民主化した後、左派の国会議員として活動。2010年から15年まで大統領を務めました▼ムヒカ氏が何度も銃撃され投獄されたという軍政の時代。弾圧による人権侵害に抗議し、行方不明者らの消息を求める「沈黙の行進」が今年も組織され、数千人のデモの様子を本紙国際面が伝えています▼ウルグアイでは右派勢力などから、人権侵害はなかった、軍政さえなかったとする主張が現れ出ているといいます。それだけに迫害や抑圧といった軍政時の記憶を次の世代に受け継ぐ大切さが強調されていました。権力者をはじめ、自分たちに都合のいいように歴史を偽造する動きは日本でも▼政治とは人びとの幸せのためにあり、社会が抱える矛盾を解決するには連帯の力が欠かせない。ムヒカ氏はそう語っていました。そして人生を享受するには自由な時間が必要で、それはたたかいによって切り開かれると。


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