2025年5月20日(火)
論戦ハイライト
医療崩壊くい止めるため 財源確保し社会保障充実を
山添氏迫る
日本共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日、それぞれ国会質問に立ち、具体的財源提案と一体で消費税5%への緊急減税を迫りました。
山添 日本の医療は崩壊の危機
首相 ご指摘のとおり
![]() (写真)パネルを示しながら質問する山添拓議員=19日、参院予算委 |
山添氏は参院予算委員会で、物価高のもと医療機関が危機にある実態を直視するよう迫り、社会保障の財源を消費税に限定する政府の姿勢を批判しました。
全国保険医団体連合会の緊急調査によると、昨年比で収入減の医療機関は65%に上り、診療報酬改定で光熱費や材料費など物価高騰分を「補填(ほてん)できていない」が9割超です。山添氏は切迫した病院の事例を紹介。都内のある病院では、入院ベッドの使用率が9割以上でないと経営が成り立たず、それでは余裕がなくなるので、やむなくボーナスをカットしたため看護師が20人退職しました。山添氏は、診療時間や診療料、入院の受け入れを減らし、救急医療を停止する病院が全国で広がり「国民の命に関わる状況だ」と強調しました。
山添 日本の医療が崩壊の危機だという認識はあるか。
首相 大変厳しい状況にあるのはご指摘の通り。
山添氏は、物価高騰から暮らしを守る日本共産党の緊急提案(4月)で、患者の負担にならないよう国費を5000億円投入して診療報酬の基本部分を引き上げ、医療従事者の賃上げを求めていると説明。現在、物価上昇2・7%に対し、診療報酬改定は0・88%引き上げと不足しているが、5000億円の国費投入は診療報酬の実質2%引き上げになると強調しました。
福岡資麿厚生労働相は、2024年度の補正予算で1300億円の緊急支援などを行うほか、融資事業を拡充したなどと答弁。山添氏は、補正予算で最も使われているのは病床を削減する医療機関に1床当たり400万円超を支給する補助金で、現在5万床分申請されているとして「この通り進めば医療体制が崩壊する」と警告しました。一方で、賃上げに充当可能な支援事業は、200床の病院でも最大800万円程度の支援で、使われていないと批判しました。
山添 診療報酬上乗せ 負担は重い
首相 行き届いているか検証する
山添氏は、カテーテルなどの治療材料や医療機器、入院給食の材料費など値上がりは大きいが「命を守るために必要な経費で節約できない」と指摘。最終消費者とみなされ患者に負担を転嫁できない医療機関の消費税負担の重さを示しました。
山添 日本医師会などの資料によると2018年からの5年間で消費税負担は48・9%増え、1・5倍。消費税一律5%への減税が即効性のある対策だ。
首相 (消費税分は)診療報酬に上乗せしている。
山添 診療報酬での対応を経てもなお、消費税負担が重いというのが、病院団体からの指摘だ。
首相 補正予算や本予算で対応した部分が本当に行き届いているかどうか。検証結果を見て対応する。
山添氏は、消費税の財源問題を追及し、主要国で付加価値税(消費税)の使途を社会保障に限定している国はあるのかと追及しました。加藤勝信財務相は日本以外には「把握していない」と答弁。首相は消費税以外の財源を社会保障に充てることは「法的に禁止されていない」と答えました。
山添 社会保障充実こそが経済を支える
首相 社会保障機能 安心に
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山添氏は『2012年版厚生労働白書』は社会保障の機能・役割について▽生活の安心を提供▽現役世代の生活保障にも貢献▽経済成長に寄与―としていることに言及。医療や介護、福祉機関の収入は、そこで働く人の雇用を支え、その給料は消費に回ると指摘しました。
山添 社会保障の充実こそが経済を支える。
首相 まさしくその通り。社会保障が機能することは安心につながり消費を喚起する。
山添氏は、だからこそ消費税を減税し、大企業や富裕層に応分の負担を求めて財源を確保し、社会保障を充実させるべきだと強調しました。