2025年5月20日(火)
きょうの潮流
そりゃそうだ。店頭から消えているのに「コメがないという認識はない」と強弁していた江藤農水相です。なにしろ、自分で買ったことがないというのですから▼自民党の佐賀県連が開いた政治資金パーティーの講演でした。「私はコメを買ったことはありません。支援者の方々がたくさんくださるので、まさに売るほどあります、私の家の食品庫には」。主食の不足や高騰に苦しむ国民の気持ちを逆なでする発言です▼認識の甘さや対応の遅さはこれまでも批判されてきました。値上がりは一時的だとした前の農水相をかばったり、コメを求める動きをオイルショック時のトイレットペーパー騒動に例えたり▼コメ高騰の最大の原因は供給量の不足にある。NHKの日曜討論で共産党の紙智子参院議員が強調していました。背景にはコメの需給と価格の調整を市場任せにしてきた政府と、減反を押しつけながらコメを輸入してきたこれまでの自民党農政の失政があると▼このままでは日本から農家が消えていく。山形でコメ農家を営む、「令和の百姓一揆」実行委員会の代表が本紙日曜版に語っていました。後継者もなく多くが離農しているのに、下支えもしない。農民と消費者が力をあわせ、農業を滅ぼす政治を変えようと訴えています▼農家の再生は安定した食料供給につながります。戦後、深刻な食料危機のなかで人びとは立ち上がってきました。食を守り育てるたたかいは、今も。国民の痛みをわかろうともしない政治の転換を求めながら。