2025年5月18日(日)
性的な行為に相手の同意必要 高校生7割理解せず
包括的性教育促進など求める
若者の団体調査
性的な行為をする時に相手の同意を得る「性的同意」について、約7割の高校生が「知らない」「聞いたことがあるが説明できない」―。若者でつくる団体が、高校生に実施した調査から、性的同意の概念が根づいていない実態が浮き彫りになりました。学校教育での人権を基盤とした包括的性教育の定着が求められています。(小林圭子)
![]() |
調査したのは、国際NGOプラン・インターナショナルとともにジェンダー平等と女性の権利向上をめざし活動する「プラン・ユースグループ」。性的同意をテーマにした理由を、メンバーの理絵さん(21)(仮名)は「メンバーの中で、同意のない性行為をして悲しい思いをした友人がいたなど、身近なエピソードがあった。性的同意はすごく大事だけど、知られていない」と語ります。
学校教育不十分
調査は、昨年12月に全国の高校生1000人を対象に実施。学校では、子どもを性暴力から守ることを目的に「生命(いのち)の安全教育」が行われていますが、不十分だという指摘もあります。性的同意について学校で学んだと回答した生徒は64%いるにもかかわらず、性的同意について「知らない」「説明できない」と答えた生徒は68%に上ります。理絵さんは「理解していない人が想定していたよりも多かった。学んでいてもしっかり理解している人は少ない」と語ります。
理解が進まない原因に、授業の進め方や内容に問題があると考えています。理絵さんは中高生の時の性教育の授業を「先生は教えづらそうで、教科書を読み上げるだけだった。生徒がクスクス笑いながら聞いていた」と振り返ります。他のメンバーのAさん(24)も、「性の話をすることがタブー視される雰囲気がつくられていた」と話します。
教える内容について、Aさんは「性の多様性など、まずは自分自身のセクシュアリティーについて考えてみるなどの導入が必要ではないか」と提案します。性について気軽に語り合えるように「もっと包括的に性が扱われてほしい」といいます。
「学びたい」8割
調査では性的同意について「知っていて、説明もできる」と回答した生徒のうち71%が、学校で知識を得たと答え、インターネットやマスメディアより多い結果でした(下グラフ)。また、「性的同意について学校で教えてほしい」と考える生徒は78%でした。理絵さんは「正しい知識を身につけたいと思っている人が多く、学校で学ぶことに需要があることがわかった」と語ります。
ユースグループは学校に対し、生徒・教員が双方向に学べる教育実践の導入や、専門家・外部講師の活用などを提言しています。また、政府に対しては、包括的性教育の促進や教育予算の拡充と支援制度の強化などを求めています。









