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2025年5月17日(土)

任命拒否 当事者に被害

東京地裁 学術会議文書の開示要求

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(写真)記者会見で任命拒否問題について述べる(左から)米倉、岡田、加藤、小澤、小森田の各氏=16日、東京都千代田区

 2020年に菅義偉首相(当時)が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題で、この6人や支援者ら約170人が原告となり、任命拒否の経緯や理由を記した行政文書の開示などを国に求めた訴訟の口頭弁論が16日、東京地裁(鎌野真敬裁判長)でありました。

 原告側の米倉洋子弁護士は、6人が任命拒否に関する情報の開示を請求したのは「憲法13条が保障する自己情報コントロール権(個人情報の利用や開示などを自分で決める権利)の行使だ」として「最大限の尊重が必要だ」と強調しました。

 原告側の大山勇一弁護士は「原告らは政府から理由も示されることなく任命を拒否され、いわれなき誹謗(ひぼう)中傷を受けるなど、研究者・専門家としての人格権を否定されるような事態に遭遇した」と指摘し、日本学術会議法が定める「優れた研究または業績がある科学者」ではないとの烙印(らくいん)を押された6人が重大な精神的苦痛を受けた事実を示しました。

 東京都内で開かれた原告側の記者会見には、菅氏に任命を拒否された岡田正則氏(早稲田大学教授)、加藤陽子氏(東京大学教授)、小澤隆一氏(東京慈恵会医科大学名誉教授)が出席しました。

 岡田氏は、会員の任命事務に関与した杉田和博官房副長官(当時)が任命拒否の判断材料にした文書はないと国側が主張していることについて、「何も資料がないのに名前が浮かんで『6人を外せ』となったとは考えられない」と述べました。小澤氏は、任命の手続きが「終了している」として拒否の理由を答えない岸田文雄前首相や石破茂首相について「説明責任を果たしていない」と強調しました。

 日本学術会議を解体して特殊法人化する法案の国会審議で、坂井学内閣府特命担当相が「政治的な主張を繰り返す会員は、学術会議が解任できる」と述べたことについて、小澤氏は「政治的に中立ではない政治家が市民である学者・研究者の政治的中立性を論じるのは言語道断だ」と批判しました。

 原告の小森田秋夫東京大学名誉教授は、同法案は一定の「基準」で会員の政治的排除が行われるおそれもあるとして「任命拒否の理由を明らかにする必要性が高まった」と述べました。


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