2025年5月16日(金)
きょうの潮流
「どちらが上、どちらが下ではない」。ホンダとの統合協議が破談となった際、当時の日産社長が強調したのは「対等である」ことでした▼日本の自動車産業をけん引してきたメンツなのか。ホンダから打診された子会社化の案に反発し、協議は打ち切りとなりました。その破談発表からわずか3カ月、新体制となった日産が大リストラ計画を示しました▼27年度までに国内外の7工場を閉鎖、2万の人員を削減すると。リストラの規模は全従業員の15%に及びます。どこの工場がなくなるのか。生産拠点が集まる神奈川県をはじめ、各地の従業員や下請けから不安の声があがっています▼思い出すのは四半世紀前、カルロス・ゴーン氏が主導した空前の人減らしと複数の国内工場の閉鎖です。「リバイバルプラン」の名の下、誤った経営戦略による巨額赤字の犠牲になったのは、労働者や下請けでした▼「Re:Nissan(リニッサン)」と名付けられた今回の計画も同様です。エスピノーサ新社長は「痛みを伴う」といいますが、痛みは働く者に押しつける。黒字のパナソニックも1万人規模のリストラを表明するなど、大企業の社会的責任を投げ捨てて▼トランプ関税で業績悪化がいわれる国内の自動車産業。ならば、それに物言い、大企業の横暴から労働者を守ることが政治の役割ではないか。ゴーン・リストラの際、各国の労働者が連帯した集会では「インターナショナル」が流れました。やめよ人減らし、地域の経済や生活を守れと。