2025年5月16日(金)
多数の戦死者想定か
陸自 葬祭業界団体と協定
進む戦争する国づくり
米軍がかかわる戦争に自衛隊が参戦する「存立危機事態」で、陸上自衛隊員が戦死した場合に備えて、葬祭業の業界団体と陸自が協力協定を結んでいたことが15日、防衛省への取材でわかりました。自衛隊員の戦死を具体的に想定する事態にまで、戦争する国づくりが進んでいることになります。(矢野昌弘)
![]() (写真)防衛省=東京都新宿区 |
陸自と協定を結んだのは、全国の葬祭業者らでつくる全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)です。全葬連のホームページによると、全国56事業協同組合と1186社の葬儀社が加盟する「日本最大の葬祭専門事業者団体」だとしています。
防衛省によると、全葬連と陸自は2月20日に協定を締結。「各種災害」や「武力攻撃事態」、「存立危機事態」の発生時に、「隊員に万が一のことがあった時に備え」るためとしています。
![]() (写真)全日本葬祭業協同組合連合会の事務局があるビル(中央)=東京都港区 |
防衛省は本紙の取材に、協定の具体的な中身について明らかにしていません。
全葬連は「協定の有無を含めお答えすることを差し控えさせていただきます」としています。
安保法制に詳しい井上正信弁護士の話 政府は安保3文書で南西諸島の防衛態勢を強化するための抜本強化として、5年間で43兆円の軍拡を打ち出しました。南西諸島を戦域とした「台湾有事」は、中国を想定した戦闘で、多数の自衛隊員の戦傷死を想定せざるを得ません。その数が自衛隊では対応できず、業界団体の協力が必要という結論になったと思われます。実際の戦争について防衛省・自衛隊がここまで具体的に考えているということです。国民の犠牲が想定されることを、広く知ってほしい。