2025年5月15日(木)
きょうの潮流
新緑まぶしい季節。鳥のさえずりも響く時期になりました。山あいではウグイスやコマドリ、オオルリらが大合唱。繁殖期を迎えた軒先のツバメも活発に飛び回っています▼毎年5月10日から16日は愛鳥週間です。定めたのは75年前の1950年。日本では米国の鳥類学者オースチン博士の提唱により4月10日を「バードデー」としたのが始まりでしたが、運動を広めるために変更されたといいます▼野鳥保護を目的に続けてきましたが、近年その数は減っています。市民や研究者、自然保護団体の協力によって継続してきた環境省のモニタリング調査でもそれは顕著に。農地や草原など開けた環境を好むスズメやヒバリといったごく普通に見られる鳥の数が大きく減少していました▼湿地や沿岸域に生息するシギやチドリ類、カモメやウミネコの海鳥類も急速に減少。絶滅のおそれがある野鳥の多くがさらに個体数を減らしている深刻な状況です▼日本野鳥の会は、私たち人間の活動が影響していると指摘します。開発による生息環境の減少、密猟や乱獲、繁殖地のかく乱、ごみ放置による捕食者の誘引など原因は多岐にわたると。それは、さまざまな生きものが調和する生物多様性にも反しています▼「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に活動する野鳥の会は各地に。なかには20年以上前から地元の子どもたちを対象に野鳥の観察会を毎月行っている支部もあります。日々の営みのなかで聞いてきた野鳥のさえずりを次の世代へとつなぐために。