2025年5月14日(水)
教員に適切な残業代を
ILO・ユネスコ合同専門家委 日本政府に勧告
国際労働機関(ILO)と国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「教員の地位に関する勧告」適用合同専門家委員会(CEART)は、日本の公立学校教員の長時間過密労働の要因になっている残業代不支給制度について、日本政府に「適切に報酬を支払う透明性のある制度」を工夫するよう勧告しました。政府・与党は残業代不支給制度を維持する教員給与特別措置法(給特法)改定案の国会審議を進めていますが、国際機関からも残業代不支給制度の異常性が指摘されました。
「教員の地位に関する勧告」は、日本政府も参加するユネスコの特別政府間会議で採択(1966年)されたもので、教員の専門性が発揮できる環境整備などを求めています。勧告に法的拘束力はありませんが、CEARTが実施状況を監視しています。
全日本教職員組合(全教)は2023年9月、日本政府が進める給特法改定が「教員の地位に関する勧告」に沿った内容になっていないとしてCEARTに申し立て。文部科学省の見解表明や全教の追加情報などを経て今年2月にCEARTが最終報告書をまとめ、勧告しました。
文科省は、公立学校教員が授業準備やクラブ活動で時間外勤務となり遅くまで仕事をしても賃金の発生する労働時間ではなく「自発的活動」だとする異常な立場を見直そうとしていません。
最終報告書は「所定労働時間を超える労働について適切に報酬を支払う透明性のある制度を工夫すること」や、「教員がより多くの時間を教育に関する活動に充てられるように十分な学校職員数を確保するための措置を講じること」を勧告。在宅勤務を含む超過勤務を定期的に監視・管理するシステムの確立も求めています。
全教の金井裕子書記長は、「全教はCEART勧告の正当性を重視し、教職員の長時間過密労働が解消される実効性のある給特法の改正を訴えています。教育予算増と『せんせいふやそう』実現のため、CEART勧告を『武器』に、政府はもちろん、各自治体での闘いにいかしていきます」と話しています。