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2025年5月11日(日)

きょうの潮流

 「レールム・ノヴァルム」。ラテン語で新しき事柄を意味する書簡は、カトリック教会が社会問題について初めて正面からとりくんだものとして知られます▼労働者を主題にして、ゆきすぎた工業化や資本主義の弊害について警告。労働者の権利と尊厳を訴え、貧困や境遇の改善は社会正義であるとしました。19世紀末、当時のローマ教皇だったレオ13世が全世界の教会にあてた回勅です▼その名を継いだ新教皇レオ14世が誕生しました。米国シカゴ生まれで両親は移民。少年の頃から教会を手伝い、その後司祭となって布教のために南米ペルーへ。社会的弱者や移民に寄り添い、前任のフランシスコ教皇によって枢機卿に任命されました▼米国出身の教皇は初。トランプ大統領はさっそく「わが国にとって何という感激、何という栄誉だろう」と喜んでいますが、憎悪と分断が世界に広がるなか、新教皇に平和や融和のメッセージを期待する声は大きい▼14億人ともされる信者をはじめ、精神文化に多大な影響を与えてきたローマ教皇の存在。それを選ぶ枢機卿も教会改革を進めた前教皇によって多様化し、欧州中心から変化しています▼とはいえ、枢機卿はすべて男性で「世界最古の家父長制」といわれるカトリック教会の改革は途上です。日本公開が現実の進行と重なった映画「教皇選挙」。そこにはジェンダー格差に対する風刺も。「対話と出会いを通して互いに橋をかけましょう」。新教皇のことばが、すべての人の尊厳につながるように。


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