2025年5月11日(日)
シリーズ 介護保険25年
ケアマネ不足深刻
事業所 4年で9%減
高齢者やその家族の相談に乗り、介護サービスの利用に欠かせない計画書(ケアプラン)をつくる介護支援専門員(ケアマネジャー)の不足が深刻です。ケアマネジャーが働く居宅介護支援事業所の休止・廃止が相次ぎ、4年間で1割近く減少。本紙の調査で、事業所が一つもない自治体が昨年末時点で全国29町村にのぼり、事業所が残り一つの自治体が201市町村あることも明らかになりました。
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介護サービスの利用はほとんどの場合、ケアマネジャーへの相談から始まります。事業所がない空白自治体の広がりは、制度の機能不全を示す重大事態です。
本紙は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」に登録された居宅介護支援事業所の一覧(年2回公表)をもとに、事業所数の増減やその分布を調べました。全国の事業所数は2020年末の3万9979件から、24年末の3万6488件へと1割近く減少(マイナス8・73%)しました。
大都市圏でも
自治体別に事業所数の動向をみると、増加が236市区町村、増減なしが625市区町村、減少が880市区町村でした。東京23区のうち18区で事業所が減るなど、大都市圏でも事業所の撤退や統廃合が進みます。
事業所ゼロの自治体は20年末の25町村から、24年末の29町村へと4町村増加しました。また、事業所が残り一つの自治体は20年末の184市町村から、24年末の201市町村へと17市町村増えました。
千葉県長柄(ながら)町では昨年春、町内唯一の事業所がケアマネジャー不足で休止しました。町健康保険課は「町社会福祉協議会が運営する事業所のケアマネジャーが退職した。社協の求人に応募がなく、再開の見通しは立っていない。隣接する茂原市など町外の事業所を案内している」と説明します。
事業所が残り一つの千葉県御宿(おんじゅく)町では、町内の利用者約200人のうち約4分の3を町外の事業所が担当します。町保健福祉課の担当者は「同じ夷隅(いすみ)郡内で平均してみれば、ケアマネジャー数とニーズはトントン(拮抗=きっこう=)。ただ、報酬の減算を覚悟で基準超えの人数を担当する事業所もある」と実情を語ります。
増やす支援を
国は昨年、ケアマネジャー1人が担当できる件数の上限を月39件から44件へと緩和しました。しかし、業務の過密化に苦しむ現場のケアマネジャーからは、基準緩和ではなく、担い手を増やす支援を求める声があがっています。









