2025年5月10日(土)
学術会議法案 採決強行
政府の意向沿う組織に変質
衆院内閣委 塩川議員が廃案要求
日本学術会議を解体する法案の採決が9日の衆院内閣委員会で強行され、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、有志の会は反対しました。日本共産党の塩川鉄也議員は「学術会議を政府の意向に沿う組織へと変質させるもので断じて容認できない」と述べ、廃案を要求。国会前では、学者や市民らが「人間の鎖」行動で廃案を訴えました。(関連記事)
![]() (写真)学術会議解体法案に反対し、「人間の鎖」でアピールする学者・市民=9日、衆院第2議員会館前 |
法案は、現行の日本学術会議法を廃止し、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化。首相が任命する監事や評価委員会、外部者でつくる会員選定助言委員会などを新設します。
内閣委で反対討論に立った塩川氏は、採決の強行に「断固抗議する」と表明し、現行法に記されている学術会議の設立趣旨や基本理念の意義を強調しました。
現行法の前文は、戦前、学術が政治に従属し戦争遂行に加担した痛苦の反省にたち「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し」と明記しています。
![]() (写真)反対討論する塩川鉄也議員=9日、衆院内閣委 |
塩川氏は、前文には同会議の歴史的出発点が記され、「その下で独立性や自律性を確保する理念や制度がつくられた」と指摘。法案は「学術会議の合意もないまま現行法を廃止し、政府が理念や会員選考方法、組織のあり方を一方的に定めて別組織を設立する」ものだと批判しました。
塩川氏は、学術会議は政府の監督下に置かれ、活動や会員選考における独立性などナショナル・アカデミーが備えるべき要件は充足されないと強調。法案の目的は「科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪う」ことだと指摘しました。
国会前の「人間の鎖」行動では、菅義偉首相(2020年当時)に任命拒否された会員候補者の一人である岡田正則早稲田大学教授がスピーチに立ち「学術会議を解体して日本の学術を破壊し、さらに軍事研究に役立つよう変える、非常に危険な法案だ」と指摘し、廃案を求めました。