2025年5月9日(金)
電子データ、令状での特定不可能
刑事デジタル法案 参考人質疑
参院委で仁比氏
参院法務委員会は8日、刑事デジタル法案に対する参考人質疑を行いました。日本共産党の仁比聡平議員は、同法案で創設される電磁的記録提供命令によって捜査機関が押収する電子データはネット空間、サーバー上に際限なくあり、憲法35条が求める、令状による捜索場所や物の特定は不可能だと指摘しました。
立命館大学大学院法務研究科の渕野貴生教授は「憲法35条の要求を満たす特定性をこの電磁的記録、データが満たすことは不可能だと率直に考える」と答えました。
日本弁護士連合会刑事調査室の河津博史室長は、現在の実務でも「令状に基づいて大量の物品が、内容の確認もされることもなく、包括的に差し押さえが行われている」と述べました。
また、捜査機関が証拠や捜査資料を不適正な管理で、「無罪証拠を隠すことは最近も繰り返されている」と発言。仁比氏は、無罪を示す資料が隠されるような捜査実務の実態や資料の管理のあり方について、法案の内容を検討した法制審議会部会では十分検証されなかったと指摘しました。
仁比氏は、捜査機関にデータを提供したことを漏らさないよう義務づける秘密保持命令について、本人が知らないままサーバーを使い続けることで、捜査機関に個人情報が丸裸にされると批判。情報収集された個人から知る機会、不服申し立てを行う機会を奪うことは「デュープロセス(適正手続きの原則)保障への極めて重大な侵害になる」として意見を求めました。渕野教授は、個人が捜査機関に情報収集されることを偶然知りえる場合に触れ「偶然知ることができた場合にだけ、不服申し立てができるというのは、権利とは到底呼べない」と答えました。