2025年5月8日(木)
上昇1.5度未満なら熱波の危険大幅減
国際研究グループ
今世紀末の地球の平均気温上昇をパリ協定の目標である産業革命前より1.5度未満に抑えられれば、2020年に生まれた子どもたちがその生涯で人為的な気候変動がなければ経験しなかったような危険な極暑にさらされるリスクを大きく減らせるとする研究結果を、ベルギーのブリュッセル自由大学などの国際研究グループが科学誌『ネイチャー』(7日付)に発表しました。温室効果ガスの排出を大幅かつ持続的に削減することが緊急に必要だとしています。
国連は各国が定めた温室効果ガスの削減目標を達成しても、今世紀末の地球の平均気温は産業革命前より2.7度上昇するとしています。研究グループは、その場合、20年に生まれた推定1億2000万人の子どもたちが一生のうちに極端な気象現象にさらされるリスクをさまざまなモデルを用いてコンピューターで予測しました。
その結果、そのうちの8割以上に当たる約1億人が心身の健康に計り知れない打撃となり、学校の閉鎖を余儀なくされるような極暑を経験する可能性があることがわかりました。気温の上昇が1.5度未満だった場合には、将来そうした経験をする子どもたちは約6200万人となります。
極暑以外でも1.5度未満であれば、農作物の不作、河川洪水、熱帯低気圧(台風など)、干ばつによる被害から2.7度の場合より数百万人規模で減ることがわかったとしています。








