2025年5月6日(火)
強制収容所 犠牲者を追悼
独ザクセンハウゼン 人種差別に警鐘
![]() (写真)遺体焼却施設の跡地で行われた追悼式典=4日、オラニエンブルク(吉本博美撮影) |
【オラニエンブルク(独ブランデンブルク州)=吉本博美】ナチス・ドイツがベルリン近郊のオラニエンブルクに設置した、ザクセンハウゼン強制収容所跡地で4日、犠牲者を追悼する記念式典が行われました。解放80年の式典にはポーランドやイスラエル、ウクライナから収容所の生存者が参加。式典ではドイツ国内で広がる人種差別や極右勢力に警鐘を鳴らし、戦争体験者の記憶の継承に力を入れようと呼びかけられました。
同収容所は1936年に設立され、1945年までに累計20万人のユダヤ人、政治犯、同性愛者、シンティ・ロマの人々が収容されていました。現在は跡地に博物館が設立され、当時の強制労働や拷問などの記録が展示されています。
ザクセンハウゼン収容所記念博物館のアクセル・アドレコル館長は式典あいさつで、現在のドイツでは極右勢力の影響でナチスを賛美する歴史修正主義や、フェイクニュースが危機的なまでに広がっていると指摘。戦争経験者が高齢化し、歴史の継承活動が困難になっているもとでも「二度と過去の惨事を繰り返さないために、今こそ改めて教育に力を入れるべきだ」と呼びかけました。
ブランデンブルク州のボイトケ州首相は、特定の人々への差別感情がホロコーストにつながった、ナチスの教訓を決して忘れてはならないと強調。首都ベルリンに隣接するブランデンブルク州として、多様な人々が暮らすコスモポリス(国際都市)を維持するために「反ユダヤ主義、反イスラム教徒、外国人嫌悪、反LGBTQという憎しみとたたかい、一人ひとりの人権を守り抜く」と語りました。









