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2025年5月3日(土)

主張

憲法施行78年

平和、暮らし、権利守るより所

 きょう3日は憲法施行から78年の憲法記念日です。行き詰まった政治を変え、平和でも暮らしでも、希望ある未来を切り開いてゆくために、今日ほど憲法の値打ちが輝いているときはありません。

■戦死者一人もなし

 戦後80年。世界各国が多くの戦死者を出すなかで、自衛隊は一人の戦死者も出していません。世界に誇るべきこの事実を生み出したのは、憲法9条であり、それと結びついた国民の運動の力です。

 加藤紘一元自民党幹事長も「憲法9条がなかったら、日本はおそらく朝鮮戦争で1万人、ベトナム戦争で1万人、アメリカの指揮のもとに戦って犠牲者を出したでしょう」(『サンデー毎日』2005年4月17日号)と認めているところです。

 いま自公政権は「敵基地攻撃能力」の保有など「戦争する国」づくりにすすんでいます。しかし、国民は「台湾有事」に際しても「外交努力や経済制裁など非軍事の手段で対応」が54%(24年8月、日本世論調査会)と多数です。いま必要なのは、憲法を変えることでなく、戦争への道を拒否し、9条を生かした平和外交をすすめることです。

 食料品をはじめとする物価高騰、低賃金、低年金のもと、国民は苦しい暮らしを余儀なくされています。医療・介護の改悪で不安も広がっています。消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28・3%と43年ぶりの高水準を記録しています。

 暮らしの苦しさを打開していくうえで、声を上げる人々を励まし、大きな力になるのが憲法です。

 憲法が定める「健康で文化的な生活」(25条)を政治に生かし、大幅な賃上げ、年金の拡充、消費税減税を実現することは、喫緊の課題となっています。

■続く違憲判決力に

 各地で生活保護費受給者が政府の推しすすめる保護費引き下げは憲法違反だと提訴しているのに対し、引き下げを取り消す判決が続いています。3月の札幌高裁判決は「国の判断の過程には、憲法や生活保護法の趣旨や目的に反する誤りや欠落があり違法だ」と断じました。

 「個人の尊重」(13条)や「法の下の平等」(14条)も力を発揮しています。最高裁は、トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに手術を必要とする性同一性障害特例法の要件を違憲と決定(23年)し、障害などを理由に不妊手術を強制する旧優生保護法を違憲とする判決(24年)を下しています。同性婚を認めない現行制度を五つの高裁すべてが違憲だと判断し、大きな流れになっています。

 「教育を受ける権利」を保障した26条は、給食費無償化、高すぎる大学学費の引き下げ・無償化をめざす運動の大きなよりどころとなっています。

 この、平和と暮らし、主権者・国民の権利を守る憲法をないがしろにし、改悪しようとする動きは、暮らしを破壊し、「戦争する国」に突きすすもうとするものにほかなりません。

 いまこそ憲法の旗を掲げ、平和、暮らしに生かしましょう。


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