2025年4月30日(水)
核軍縮 義務果たせ
NPT会議準備委が開幕
![]() (写真)NPT再検討会議第3回準備委員会で発言する国連の中満泉軍縮担当上級代表=28日、ニューヨーク(柴田菜央撮影) |
【ニューヨーク=柴田菜央】2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が28日、米ニューヨークの国連本部で始まりました。5月9日までの日程です。初日の討論では、核兵器の増強が進み核使用の危険が高まっている現状を批判し、核保有国に対し核軍備縮小・撤廃について定めたNPT第6条の実践義務を果たすよう求める声が相次ぎました。
国連の中満泉軍縮担当上級代表は、ここ数年、核兵器が「威圧の道具」として使われ、核兵器の性能向上や備蓄の拡大が続く中、条約締約国の努力や誠意なしには「NPTは実践から切り離された戦略のままになってしまう」と懸念を表明。締約国が第6条と軍縮は「実践的で達成可能な目標」だと再認識することなど、委員会で取り上げるべき優先事項を提起しました。
核兵器禁止条約の締約国を代表して発言した南アフリカは、核兵器の被害にあった人びとが何十年たっても支援や環境修復を待っていることは「受け入れられない」と述べました。核禁条約は「完全にNPTを補完する」と二度繰り返して強調。核廃絶に向けて核保有国は意義ある行動をとるべきだと訴えました。
新アジェンダ連合を代表して発言したブラジルは、被爆者や核実験被害者の存在にふれ、「核兵器の使用と実験による人道的な結果は私たちの討議の中心に据えられなければならない」と強調。核保有国が義務の履行から逃れ続け「核抑止」力が拡大し続けるなら、条約は価値を失ってしまうと危機感を示しました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)を代表して発言したマレーシアは、核兵器がもたらす長期的な世代を超えた影響に言及。核兵器のない世界に向けて協同を高めることを求めました。
日本の岩屋毅外相は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞し「『核兵器のない世界』を求める声はこれまで以上に大きなものとなっている」と発言。しかし、具体的な行動は何も語らず、核保有国に第6条の義務の履行を求めることもなく、核禁条約にもふれませんでした。