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2025年4月28日(月)

イスラエル軍が残した「見えない脅威」

不発弾 子どもの未来奪う

ガザ 現地ジャーナリストが語る

 パレスチナ・ガザ地区では、イスラエル軍の不発弾による子どもの死傷事故が相次いでいます。現地ジャーナリストのモネエブ・サアダ氏(40)が本紙の取材に、その実情の一端を語りました。(米沢博史)


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(写真)不発弾の爆発で片目を失明したモハメド・ヒジャジさん(モネエブ・サアダ氏提供)

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(写真)モネエブ・サアダ氏(本人提供)

 北部ジャバリア難民キャンプに暮らす少年、モハメド・ヒジャジさん(7)は、自宅前の瓦礫(がれき)の中で不発弾を拾い、爆発に巻き込まれました。この事故で右目を即座に失い、左目も失明の危機にあります。「何かを拾って遊んでいただけだった」と、震える声で語ったモハメドさんの言葉は、無邪気な好奇心が一瞬にして命を脅かす現実へと変わったことを物語っています。

 父親のハレドさんは、血まみれの息子を抱えて必死に病院へ駆け込みました。しかし、長期にわたる封鎖と空爆により、ガザの医療体制はすでに崩壊状態です。モハメドさんの左目を救うには国外での緊急手術が必要ですが、それすらも認められていません。

 「息子は爆撃の音に怯えて夜中に震え、遊ぶことも、勉強することもできなくなりました」とハレドさんは涙ながらに語ります。モハメドさんが失ったのは視力だけではありません。安心や安全、そして未来までもが、爆発とともに奪われてしまったのです。

 ハレドさんは訴えます。「どうか、息子を救うために力を貸してください。彼の中に残る希望の光を、私たちは消したくないのです」

 このような悲劇は、決してモハメドさん一人のものではありません。ガザに暮らす200万人以上のパレスチナ人が、同様の“見えない脅威”に日々さらされています。

 イスラエル軍の2023年10月以降の侵攻で残された無数の不発弾は、ガザ全域に散在しています。イスラエルによるガザ封鎖政策は、国際機関による除去作業をも阻み、探知や撤去に必要な設備も人員も、著しく不足しています。安全な避難経路もなく、日常の中に潜む“死のわな”は、今もなお無差別に子どもたちや市民を襲い続けています。


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