2025年4月28日(月)
万博チケットで個人情報収集
高校生「とても怖い」
![]() (写真)チケットIDが記された大阪・関西万博の「こども招待一日券」(画像を一部加工) |
「とても怖い。今でさえ『手軽に稼げる日給5万円』みたいな闇バイトのメールがたくさん届く。自分の情報がどう利用されるか分からない」―。滋賀県内の高校に通うAさん(17)はこう話します。Aさんの高校では4月中旬、2、3年生約400人が校外学習として10台のバスに分乗し、大阪で開催中の関西万博に参加。生徒たちは、知らず知らずのうちに個人情報を提供させられていたのです。
同校では、事前に生徒一人ひとりに旅行会社を通じて「2025年大阪・関西万博入場チケットID」が配布されました。
AさんはIDを使って自らのスマートフォンで「万博ID」とパスワードを登録。順調に進みましたが、それでも完了までに40分もかかりました。「何度も別のサイトに飛ばされて大変だった」
スマホ操作が得意なAさんは友人の登録も手伝い、最終的には、万博参加者の5人に1人が登録しました。しかしAさんは、「万博ID」登録時に同意を求められる「個人情報保護方針」は読みませんでした。「ほかの生徒も読んでいないはず。ただ、国が運営しているから大丈夫だろうと思って…」
外国の第三者へ提供可能性も
関西万博の「個人情報保護方針」には、ID登録すると、氏名や住所、生年月日などの基本情報のほか、指紋の1000倍の識別性のある顔画像や音声等の生体情報、位置情報、クレジットカード番号、さらにはLINEやX(旧ツイッター)などのSNS関連情報が収集されると書いてあります。
当初は指紋や既婚・未婚、子どもの有無、趣味嗜好(しこう)も収集予定でしたが、世論の批判を受け、万博協会は3月末に一部撤回しました。
しかし、SNS閲覧履歴や所属先情報の収集は続いており、外国の第三者機関へ情報提供される場合もあります。
個人情報が悪用されると、なりすまし詐欺やプライバシー侵害、不正アクセスなど、取り返しのつかない事態が起こる危険があります。とりわけ未成年者の高校生の個人情報は、慎重な取り扱いが必要です。
学校ではスマートフォン利用を推奨されたものの、リスクについて十分な説明はありませんでした。Aさんは、これから万博に行く人たちにこう訴えます。
「個人情報を抜き取られる怖さがあるのなら、『万博ID』の登録は必要ありません」