2025年4月6日(日)
万博 安全置き去り
13日開幕 命軽視のリハーサル
大阪・関西万博の13日開幕を前に、万博会場の危険性が改めて浮き彫りとなる事故や問題が次々と起きています。4日から始まったリハーサル(テストラン)実施中に、工事中のパビリオン内で火災事故が発生するなど、安全性が改めて問われる事態となっています。
ブラジル館火災
工事中 原因は不明
![]() (写真)パビリオンがひしめく万博会場。一番手前下の長方形の箱形2棟が火災があったブラジル館=3月30日、大阪市・夢洲 ![]() (写真)火災があったブラジル館の配置図(万博協会HP図から作成) ![]() (写真)万博の第1交通ターミナルの歩道付近に立ち並ぶガス抜き管=3月23日、大阪市・夢洲 |
火災事故が起きたのは、大屋根リング内側の東側にあるブラジルパビリオン。万博協会などによると、4日午後7時20分ごろ、パビリオン内で火災が起き、天井材と配線が燃える被害が出ました。火は関係者が初期消火を行い消し止められましたが、関係者の通報で消防車両16台が駆け付けました。けが人はありませんでした。
火災による焼損状況や原因などは不明ですが、廃棄物などの処分場である万博会場の夢洲(ゆめしま)からは現在もメタンガスが発生。昨年3月には地下ピット(空間)に滞留したメタンガスが工事の火花で爆発し、床材が吹き飛び、天井まで損傷する事故が起きています。
ブラジルパビリオンは自前で建設する計画でしたが、工事費の増加などで万博協会が建設を代行するプレハブ方式の「タイプX」に変更。面積も3分の1に大幅縮小しましたが、それでも工事が遅れており、テストランに参加せず夜になっても工事が続いていました。
協会は翌5日、出火原因も対策も不明のまま、多くの人が参加する「テストラン」を予定通り実施。石破茂首相の視察も行われました。ネット上などで「このまま開催していいのか」「いのち軽視ではないか」との声も上がっています。
メタン爆発濃度
1月検出 昨夏から倍増
大阪市夢洲で13日から開幕予定の大阪・関西万博の会場内の地下ピット(空間)で1月も爆発濃度のメタンガスが検知されていたことがわかりました。場所は昨年3月に爆発事故があった東トイレの付近です。その他にも1~2月に4カ所の地下ピットで退避が必要な濃度が検知されました。昨年の爆発も地下ピットにたまったメタンへの引火が原因。会場の危険性が改めて浮き彫りになった形です。いずれも会場西側の夢洲1区で、日本国際博覧会協会が5日までに発表しました。
夢洲1区は現役の廃棄物処分場で、管理する大阪広域環境施設組合の昨年12月の調査によると、廃棄物由来のメタンガスが83本のガス抜き管から1日に約3トン排出。すでに埋め立てが終わったエリアを使用する万博用地内にもガス抜き管が立ち、排出口の内側で爆発濃度のガス抜き管も少なくありません。
同調査報告では、今回の冬期調査では昨年7月の夏期調査に比べて濃度の高い管が増え、管からの総排出量も倍以上になったことを指摘。「今年度(濃度が)高かった地点で過去に高くなかった地点が見受けられた」「これらのガス抜き管は…博覧会のために駐車場をはじめとして造成が進められている区域にある」と万博工事との関連性を示唆しています。
万博協会は昨年、1区に関し「基本的には飲食店舗は火気厳禁で募集している」と強調していましたが、定期測定などを条件にプロパンガスの使用を容認しています。
会期中の対策については、「安全確認の状況」の協会HPでの公表などにとどまっています。











