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2025年3月26日(水)

主張

商品券配布

裏金中の裏金 機密費の闇正せ

 石破茂首相の商品券配布問題をめぐり疑惑が広がっています。商品券配布は石破首相だけでなく、自民党歴代政権の慣行であり、原資として官房機密費が使われた疑いが指摘されています。自民党全体の根深い金権腐敗体質にかかわる重大な問題です。

■歴代の政権の慣例

 「首相が議員に商品券を配るのは自民党では慣習だった。自分も何度も受け取った」。本紙日曜版は自民党現職議員の証言を報じました。安倍晋三政権時にも首相公邸で官房長官が同席する会食があり、商品券が配られています。

 自民党の大岡敏孝衆院議員は、安倍首相(当時)と会食後、「商品券的なもの」を受け取ったと証言しています。岸田文雄前首相が在任中、首相公邸で政務官と懇談し、商品券を渡していたことも報じられています。

 日本共産党の井上哲士議員は19日の参院予算委員会で、石破首相の商品券配布も同じ形で行われたとして「このような慣例が自民党内で引き継がれているのか」と追及しました。石破首相は「答える立場にない」と否定できませんでした。

 石破首相は「『ケチだ』と散々言われてきた」(19日、参院予算委)と自認する人物ですが、商品券配りが問題になるという意識すら持たないほど慣例化していた疑いがあります。国民生活とかけ離れた金権政治に染まりながら、その異常さに気づかない人物に首相を続ける資格はありません。

 歴代政権が商品券の原資として官房機密費を使ってきた疑いは重大です。日本共産党と本紙は一貫して、税金である官房機密費が巨額の裏金として使われ、民主主義を腐らせてきたことを追及してきました。

 官房機密費は毎年12億円も支出され、その9割が官房長官の裁量で使途を明らかにせずに使える「政策推進費」だと判明しています。自民党内や野党対策として商品券などに使われた一端も明らかになっています。

■党略的使用許すな

 2018年1月、最高裁は、官房機密費の支出関連文書の一部開示を国に命じました。判決後、原告の政治資金オンブズマンのメンバーは、菅義偉官房長官(当時)に、官房機密費を国会議員、ジャーナリスト、公務員に渡すことを禁じることや、一定の期間が過ぎた支出は公開するよう求める要求書を送っています。しかし、歴代官房長官は一切、無視してきました。

 自民党幹事長が議員に配り、使い道を明らかにしてこなかった「政策活動費」は廃止されました。自民党が政治資金パーティーの収入を裏金にしていたことも政権を揺るがす大問題になっています。しかし“裏金中の裏金”の官房機密費は暗闇のままです。

 国民の税金が党利党略、政権維持のために“闇の中”で使われることは民主主義の根幹にかかわります。石破首相は、官房機密費の支出の実態を公開すべきです。

 商品券配布の実態を明らかにし、官房機密費を党利党略や私的に流用させない最低限のルールをつくる必要があります。


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