2025年3月25日(火)
自衛隊「統合作戦司令部」発足
米軍指揮下 敵基地攻撃運用の危険
![]() (写真)統合作戦司令部の編成完結式で訓示する中谷元防衛相(壇上中央)=24日、東京都新宿区 |
陸海空自衛隊の実動部隊を平時から有事まで指揮する「統合作戦司令部」が24日、東京・市谷の防衛省で発足しました。日米の司令部連携強化の一環で、当面は部隊運用や共同作戦などでインド太平洋軍司令部との連携を強化します。
統合作戦司令部は、政府が2022年末に決定した安保3文書に創設を明記。240人規模で発足し、従来の陸海空に宇宙・サイバーを加えた広範囲を指揮。長射程のスタンド・オフ・ミサイルを用いて他国領域を攻撃する「敵基地攻撃能力」を一元的に指揮します。ただ、敵基地攻撃の意思決定は日米共同で行うため、情報・能力面で圧倒的に優位な米軍指揮下で敵基地攻撃能力が運用される危険があります。
同日、防衛省内で行われた新編完結式で中谷元・防衛相は、同司令部の意義として「同盟国・同志国の司令部との連携」を挙げ、「各国との情報共有や運用面での協力を一元化し、相互運用性を向上させてほしい」と述べました。
司令官に着任した南雲憲一郎空将は式典後の会見で「新しい指揮統制関係の上で、日米間でしっかり連携できる体制を構築、強化したい」と強調。「スタンド・オフ防衛能力」やF35Bステルス戦闘機、事実上の空母化を進めている「いずも」型護衛艦の運用体制を「早期に確立する」と述べました。新編に伴う記念行事で来賓の在日米軍のジョスト司令官と豪統合作戦本部長のジョーンズ海軍中将があいさつし、連携強化をアピールしました。
昨年7月の日米安保協議委員会(2プラス2)では、統合作戦司令部のカウンターパート(対応相手)として、在日米軍司令部を「統合軍司令部」として再編成する計画が示されました。ただ、米国防総省内で在日米軍の強化中止も検討されているとの報道も出ています。