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2025年3月24日(月)

主張

自衛隊の新司令部

主権を譲り渡し米軍と一体化

 陸海空自衛隊の実動部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が24日発足します。狙いの一つは、日米の軍事一体化を指揮統制の面で一層深化させることです。事実上、自衛隊が米軍の指揮下に置かれ、米国の戦争に動員される重大な危険があります。

■米韓両軍がモデル

 「(米軍と自衛隊との)軍同士の関係は強固に見える。しかし、私は、(米軍と)韓国軍との間で既に存在しているような統合のモデルへと、さらに深化させる必要があると考えている」。米国防総省ナンバー3の国防次官に指名されているコルビー氏の議会証言です(4日、米上院軍事委員会公聴会)。

 米軍と韓国軍との既存の関係とは、両軍が単一の米韓連合軍司令部を設置していることだとみられます。

 韓国軍の「作戦統制権」(指揮権)は平時には同軍制服組トップの合同参謀議長が行使します。しかし、戦時には在韓米軍司令官が兼務する米韓連合軍司令官が行使し、韓国軍は米軍の指揮下に置かれます。コルビー氏の証言はこうした米韓両軍の関係を米軍と自衛隊との「統合のモデル」にするということです。

 コルビー氏はこの証言に続き、「幸いなことに過去数年間の前政権下での努力と日本自身の脅威認識の悪化を背景に(統合への)勢いが生まれている」と述べています。

 昨年4月の日米首脳会談の共同声明は、自衛隊統合作戦司令部の設置計画を「歓迎」し、「作戦と能力のシームレスな(切れ目のない)統合を可能にし、平時と有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性と計画策定の強化を可能にするため、2国間でそれぞれの指揮統制の枠組みを向上させる」としました。

 米軍と自衛隊を統合し、平時でも戦時でも共同して計画を練り、一体となって軍事行動ができるようにするため、指揮統制の枠組みを向上させるというのです。

 さらに同年7月の日米外交・軍事担当閣僚の会合では、米側が在日米軍を再編し、これまでは持っていなかった作戦指揮権を行使できる「統合軍司令部」を新設することを打ち出しました。同司令部は、自衛隊統合作戦司令部のカウンターパート(対応組織)になります。

■「方針の変更なし」

 今年2月のトランプ米大統領と石破茂首相の会談での共同声明も「自衛隊と米軍のそれぞれの指揮統制枠組みの向上」を再確認しています。

 米メディアはトランプ政権が政府機関縮小の一環として在日米軍司令部の強化中止も検討していると報じました。しかし、中谷元防衛相は21日、米軍と自衛隊の指揮統制の枠組み向上について「方針の変更はない」と述べました。

 米軍は、情報でも装備でも圧倒的な力を持っています。作戦や能力の切れ目のない統合を進めれば、自衛隊が米軍の事実上の指揮下に組み込まれることは避けられません。

 これは、日本の主権を米国に譲り渡すことに他なりません。日本国憲法と相いれない日米軍事同盟の変質・強化、大軍拡に反対し、外交による平和創造を求める世論と運動を高めることが必要です。


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