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2025年3月23日(日)

きょうの潮流

 3月で定年を迎えた永田浩三武蔵大学教授の最終講義がありました。永田さんと共に活動をしてきた市民が企画。第2部では永田ゼミの卒業生が登壇しました▼27歳のKさんはその中にあって居心地が悪そうでした。唯一、ゼミ生でない彼。大学の勉強に興味が持てず、他学部の永田さんの授業に出た時のことを話します。そこで見た被爆者の映像がいかにショックだったか。「皮膚が裂けているんです。赤身の魚のように。僕は初めて原爆がなぜダメなのか、わかりました」▼授業の後、永田さんが呼びかけるボランティアに参加。日本被団協の活動史を映像に残す作業でした。その過程で、被団協の人たちが援護法の制定を求めて厚労省前で座り込みをしている写真を目にしました。「顔つきが精悍(せいかん)で。私利私欲のためでない」▼作品の題名は「声が世界を動かした」。声を出すことがいかに大切で勇気がいるか。「社会に出ると声を出さないでいる方が楽なんです」▼福祉関係の仕事をするKさん。仕事で心が折れそうになると永田さんや被爆者の姿を思い浮かべます。元NHKプロデューサーの永田さんは現役時代に裁判でNHK番組への政治介入を裏付ける証言をしました。「多感な大学生のうちにすばらしい大人と出会えたことは財産になりました」▼「教えるとは希望を共に語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。フランスの詩人ルイ・アラゴンの詩のフレーズが頭をよぎります。被爆2世でもある永田さんの見事な教育実践です。


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