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2025年3月22日(土)

きょうの潮流

 「ああ、あー、聴こえますか」。1925年のきょう、東京放送局(NHKの前身)の仮放送所から発せられたラジオの第一声です▼2年前に起きた関東大震災を契機に、情報伝達メディアとしてラジオが認識されるようになっていました。出発から政府監督下に置かれましたが、番組は多彩。童謡や童話、子どもたちによる児童劇が組まれていた「子供の時間」、「英語講座」も▼放送の歴史は戦争を抜きには語れません。31年、中国侵略戦争の開始となった満州事変の第一報を臨時ニュースで放送。36年の二・二六事件では原隊復帰を求める「兵士に告ぐ」を流しました▼ウソの戦況をタレ流す大本営発表で国民を戦争に駆り立てたのはラジオです。『ラジオと戦争』(大森淳郎著)には、アナウンサーの語調が雄叫(おたけ)び調へと変化していった様子がつづられています▼41年、「子供の時間」は「少国民の時間」に改題され、愛国心を植え付ける内容に。太平洋戦争開始の3カ月前には、女性や子どもたち向けの番組「ラジオ太郎」が始まり、日々の節約や戦地への応援を語りかけました。まさに戦争への国民総動員の道具とされたのです▼戦後80年。戦争と平和をめぐって、いまメディアは伝えるべきを伝えているでしょうか。例えば戦時下並みに急突出する大軍拡予算案など、「戦争する国」づくりの実態を検証する報道は見当たりません。放送100年の節目にあたって、いま改めて記憶したい。“戦時のラジオ”を繰り返してはならないと。


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