2025年3月21日(金)
主張
杉田水脈氏の公認
暴言許す自民に選挙で審判を
これまで数々の差別発言や人権侵犯をしてきた杉田水脈(みお)前衆院議員を、自民党が今夏の参院選比例区で公認したことは、党として暴言を免罪しお墨付きを与えるものです。自民党の人権感覚、男女平等・ジェンダー意識の欠如をはっきりと示しています。
■人権侵犯繰り返す
杉田氏の暴言は枚挙にいとまがありません。
2014年10月の衆院本会議では「男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」とのべ、女性差別撤廃条約の破棄、男女共同参画基本法の撤廃を求めました。
16年に国連女性差別撤廃委員会に参加した際には、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」「日本国の恥晒(さら)し」とブログに投稿しました。
法務省は、特定の国や地域の出身者を著しく見下すものをヘイトスピーチだとし、ヘイトスピーチ解消法は「差別的言動は許されない」とします。アイヌ政策推進法は、アイヌの人々の誇りの源泉である伝統や、多様な民族の共生への国民の理解を深めることを基本理念に掲げます。
杉田氏のブログがこれらの理念に反するのは明白です。杉田氏は札幌と大阪の法務局から人権侵犯と認定され、人権尊重への理解を深めるよう啓発を受けました。
18年には月刊誌に、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿しました。性的少数者に限らず生産性で人間に優劣をつける優生思想につながる発言です。
20年には性暴力被害者への支援をめぐり、自民党内の会議で「女性はいくらでも(被害に遭ったと)ウソをつけますから」と発言したことが報じられました。被害者をおとしめ、泣き寝入りを強い、性暴力を温存するものです。
これらの発言は多くの人を深く傷つけ、厳しい批判を浴びました。
■まったくの無反省
しかし、まったく無反省です。公認を得た党大会後の10日には「どれだけ叩(たた)かれても」「ブレずに突き進んでいく」という動画を配信。11日には「生産性がない」発言は「切り取り報道」だと主張しホームページに月刊誌への寄稿全文を自ら載せています。
杉田氏は裏金問題で1564万円の不記載があり役職停止6カ月の処分を受けましたが、政治倫理審査会に出ず説明責任を果たしていません。
しかし自民党は、過去の暴言の際もまともな処分をせず、今回も暴言も裏金も問題にせず、保守票狙いで公認しました。杉田氏に国会議員の資格がないのは明白です。公認する自民党そのものが問われています。
石破茂首相はかつて、杉田氏の「生産性がない」発言を「そんな心ないことを自民党が許してはならない」とのべ、杉田氏を擁護する党執行部を批判していました。いまは「公認の評価は選挙で有権者に判断いただくべきこと」だとします。杉田氏は、政党を選ぶ比例代表の候補です。選挙で自民党そのものに審判を下さなければなりません。